味見の楽しみ どうなる? 物産展試食 割れる対応 コロナ禍で百貨店

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トレーに乗せられた試食品を味見する来場者=18日午後、宇都宮市インターパーク6丁目

 デパート主催の物産展で来場者の楽しみとなってきた「試食」。新型コロナウイルスの感染防止を図る中で店の対応が割れている。FKDインターパーク店(宇都宮市)は「お客さまが少しでも楽しめる場をつくりたい」と、中止してきた試食を一部緩和した。出店者の試食提供を許可制として、客が求める場合に限って認めた。一方、東武宇都宮百貨店(同)は「お客さまの安全が最優先」とし、試飲や試食を取りやめている。

 インターパーク店で22日まで開催する「全国フードフェスティバル」。今回は試食の実施を希望する出店者に対し、催事場の担当者が試食提供の流れを確認して修正を促すなど指導し、「試食提供店舗」の掲示を渡して許可する形にした。

 許可なく試食を提供した場合は取引停止の処分を検討する。試食品は店頭には並べず、店が客に試食を勧める声掛けは禁止。客から希望があった場合のみ提供するルールとした。出店する28社のうち半数が許可を受け、掲示を掲げている。

 「試食のあるなしで(売り上げは)全然違う。想像と実際の味が違うこともある。味見したお客さまのお買い上げ率は高い」。大阪府の冷凍お好み焼き販売店は、試食の再開を歓迎した。

 和歌山県の紀州南高梅販売店はこれまで、菜箸で梅干しを客の手のひらに渡すやり方をしてきたが、感染防止のため、一つ一つ小分けのカップに入れる方法に変えた。「新規の客をつかむには試食は必要。見た目だけで売るのは難しい。『試食どうぞ』と言えないのはつらい」と社長は話す。

 催事場の担当者は試食の再開について「相当悩んだ」と漏らす。「お客さまにとっては楽しみの一つ。出店者にとって味見は重要な手段」と考え、ルールを作り、感染防止を徹底した上で緩和を決めた。「お客さまが安心できる環境づくりが先決。世の中に合わせて販売方法も変化している」。

 大催事会場では試食を楽しむ客の姿があった。来場者からは「試食はあった方が楽しい」「気になる人は食べなければいいと思う」との声が聞かれた。

 一方、東武宇都宮百貨店は当面、試食を中止する考えだ。宇都宮市の本店で17日に始まった「ふるさと栃木の観光と物産店」でも試飲や試食は行っていない。

 懸念するのは試食品を口にすることでの感染リスクだ。担当者は「お客さまの安全が最優先。安全の部分で少しでも心配があるならやめる」と説明する。

 多くの客が訪れ「密」が生じやすい物産展。コロナ禍の中、開催方法の模索が続く。