農業「100年先までつなげたい」 白崎土地改良区理事長・山脇さん

立派な農地に負けぬよう、高品質のミカンを作りたいと話す山脇さん=西海市西彼町

 「先祖から続く農業を100年先まで続けたい」との思いで、基盤整備事業に取り組む白崎土地改良区理事長の山脇初良さん(70)に今後の目標を聞いた。

 -白崎地区のミカン作りの歴史は。
 この山にミカンの木が最も植わっていたのは昭和40年代前半。しかし、1972年の価格暴落後、政府の生産調整で温州ミカンの木を切ってスイカやバレイショなどの野菜に移る人と、岩崎早生や原口早生など新品種を接ぎ木し、高品質を目指す人に別れていった。
 大西海農協(現・JA長崎せいひ)のミカンは、80年代後半から90年代前半にかけて岩崎や原口が日本一の高値を付け、現在の西海市産の知名度も上がった。
 しかし傾斜地の段々畑には機械が入らず、効率もよくない。次第に生産者は減り、耕作放棄地が増えた。

 -今後の展望を。
 関係先の調整に奔走してくれたJA職員や、地権者のみなさんの協力もあり、40年ぶりに一面の「ミカン山」が戻った。大区画になり、ミカンの木にトラックも横付けできる。ミカンのコンテナは1個当たり約20キロ。これまでは運搬用のモノレールやカートで往復した。積み出しや薬の散布ははるかに楽になる。
 昨年と今年で3年物の苗木を植えた。収穫は4、5年後。現在10戸がミカンを育てているが、7戸は他の地域から参入し規模拡大に取り組む40、50代の若手。西彼町のミカン作りの後継者として育ってほしい。
 この地は赤土で作物の味もいい。ミカン作りを100年先までつなげたい。立派な畑に負けぬよう、高品質のミカンを出荷したいと思っている。

 


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