世界が認める湘南の海 片瀬西浜・鵠沼海岸、環境認証「ブルーフラッグ」取得へ

美しい海岸を次代へ継ぎたいと語る江の島海水浴場組合の森井理事長=藤沢市の片瀬西浜

 世界が認める美しく快適な片瀬西浜・鵠沼海岸(神奈川県藤沢市)を目指し、江の島海水浴場協同組合(森井裕幸理事長)は、持続可能なビーチを対象にした国際認証「ブルーフラッグ」の取得へ名乗りを上げる。審査に当たり水質、安全など33項目の基準をクリアする必要があり、国内で認証を取得したのは、鎌倉市の由比ガ浜海水浴場など4カ所のみ。今秋の申請へ向け、湘南の海を代表する同海岸ならではのモデルの構築を進める。

 同組合の森井理事長が今年2月の総会で、同認証の取得を提案し、組合員の賛同を得た。藤沢市の協力を得ながら、11月に実施主体の国際NGO「FEE(国際環境教育基金)」(本部・デンマーク)に申請する。取得の可否が決まるのは来年5月。

 ブルーフラッグは1985年にフランスで創設され、現在45国、4559カ所が認証を受けている。由比ガ浜は2016年、アジアで初めて取得した。

 国内でわずか4カ所にとどまっているのは、審査基準が多岐にわたり、具体的な取り組みが求められるなど、ハードルが高いためだ。審査基準は▽環境教育と情報▽水質▽環境マネジメント▽安全とサービス-の4分野33項目に及ぶ。

 それでも森井理事長がブルーフラッグ取得を目指すのは、組合が主体となって築いてきた快適で安全安心な片瀬西浜・鵠沼海岸を市民、県民の共有財産として次代へ継ぐためだ。

 一時期、海の家が「クラブ化」し騒音や風紀の乱れが問題になった際、組合が自主規制のルールを作り、家族連れも楽しめる海水浴場の再生につなげた。この経験を通じて、組合を中心に「自分たちの海は自分たちで守る」という共通認識が醸成されたという。

 認証取得するためには、海水浴場組合をはじめ、行政、企業、環境・観光団体、漁業関係者、マリンスポーツ団体、ライフセーバー、市民ら海に関わるさまざまな人々の協力が不可欠となる。

 今夏、新型コロナウイルスの影響で海水浴場が開設されなかった「異例の夏」の下、組合を中心にこれらの機関、団体が連携し海岸の秩序を守ったことで、ブルーフラッグの取得実現へ手応えを得たという。

 今後、海岸ごみ対策、騒音対策、喫煙ルールの徹底、バリアフリー導入などの具体化を進める。「老若男女、障害のある人も健常者も誰もが楽しめる海の象徴として、片瀬西浜・鵠沼海岸にブルーフラッグを掲げたい。他の地域にも波及し、県内の海岸全体の価値向上につながれば」。森井理事長は期待を込めた。

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