「簡単に中止にできなかった」 ヌーバレー、協議重ね縮小開催 南城市・安座真

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 沖縄県南城市知念安座真区では毎年旧盆のウークイ翌日に五穀豊穣(ほうじょう)などを祈願する「ヌーバレー」が開かれる。人々の健康と集落の繁栄を願い、多彩な芸能が繰り広げられる。

 コロナ禍の今年、区の役員らは開催の可否を巡って協議を重ね、規模を縮小しての実施に踏み切った。金城幸彦区長は「ヌーバレーは安座真にとって最大の行事。先人たちがつないできた伝統行事を簡単に中止にすることはできなかった」と語る。

 ヌーバレー当日の3日、御願(うがん)を任された女性が拝所の祭壇に向かって目を潤ませながら、一日も早くコロナの流行が終息するようにと祈願した。通常、御願の後には15人の踊り手が拝所の前で奉納舞踊を披露するが、今年ははやしと地謡のみの演奏だった。しかし「唐船ドーイ」が流れると区民が駆け付け、自然とカチャーシーが始まった。踊った男性は「音楽が流れて肝(ちむ)わさわさー(落ち着かない)した。ヌーバレーはこうでないと」と笑顔で語った。

 夜は「安座真ムラヤー」(公民館)に数人の区民が足を運び、「長者の大主」が披露された。「長者の大主」は120歳になる大主が子や孫らを引き連れて、村人の健康と繁栄を願って口上を述べる演目だ。例年は子どもたちや女性、青年たちが華やかに舞うが、今年は密を避けるため、出演者3人と地謡だけが舞台に上がった。大主は色鮮やかな衣装を身に着けて扇をあおぎ、親雲上(ぺーちん)が勇ましい二才踊りを見せた。すると客席からは「したいひゃー(でかした)」の声が響いた。

 大主役を務めた安座真伝統芸能保存会元会長の具志堅哲美さん(73)は「旧盆の中日に1度だけ集まって練習した。今年は寂しい雰囲気になったが、後世につなげるための大きな役割を果たしたと思う。コロナが収束したら来年は必ず通常通りの規模で実施したい」と目を輝かせた。

 (金城実倫)