障害者が生産した食材普及を 雲仙・国見「文化芸術フェス」イベント 料理研究家 服部氏が講演

障害者が生産する食材の普及を講演で呼び掛ける服部氏=雲仙市国見町、登利亭国見店

 障害者福祉事業所が取り組む農漁業の産品や加工品の普及を目指す「『農×福×食』 九州の食を味わうイベント」が21日、長崎県雲仙市国見町の飲食店、登利亭国見店であり、料理研究家の服部幸應(ゆきお)氏(74)が講演し、障害者が生産した食材を使った料理を振る舞った。
 県美術館で開催中の「日本博を契機とした障害者の文化芸術フェスティバルin九州」(実行委、文化庁など主催、長崎新聞社など共催)の一環。服部氏が、事前予約した県民50人に向け「食は文化」と題して講演した。
 服部氏は、2017年に文化芸術基本法が成立し、初めて食が文化として認められたことを紹介した上で、食料自給率低下と、食の欧米化による生活習慣病の増加を問題視。「日本の地方の食材を大事にして普及させていく必要がある」と訴えた。農漁業生産に取り組む障害者に向けては「産物のレベルが高い。努力の成果に感心する」と評価。「普及させるために皆さんの力が必要なので、ぜひ頑張って」と激励した。
 講演に引き続き、島原半島内の複数の福祉事業所で生産した野菜や鶏肉、養殖魚などの食材を使い、服部氏が監修した御膳を来場者に振る舞った。
 食材を提供した社会福祉法人南高愛隣会の田島光浩理事長(46)は「農業従事者が減る中で、障害のある方々が食文化を守っていることを広く知ってもらいたい」と話した。

障害者が生産した食材を使い、服部氏が監修した御膳

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