陸前高田グローバルキャンパス通信 Vol.05

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~岩手大学・立教大学 共同運営 交流活動拠点~
今回は「防災・減災をどこよりも深く学べるまち、陸前高田への貢献」という方針に沿って行われている取り組みをご紹介します。

■新時代の選択肢 移動式木造住宅
近年、気候変動により風水害や土砂災害が頻発・激甚化しています。その結果、建物被害に加えライフライン被害が重なり、避難所での劣悪な避難生活が長期化し、健康被害や災害関連死のリスクが高まりつつあります。

2011年の東日本大震災では、約4万9千戸の応急仮設住宅が建設され、全てが完成するまで約8个月かかりました。南海トラフ地震や首都直下型地震ではそれ以上の長い建設期間を要することは明らかであり、超長期の避難所生活による深刻な健康被害が想定されます。
避難生活の健康リスクを軽減する対策の一つとして移動式住宅を利用した応急住宅の社会的備蓄を提案しています。

社会的備蓄とは、平常時は公園やキャンプ場などで合宿研修や体験交流の施設、ワーケーションやグランピングなどのレジャー施設、地域食堂などコミュニティのハブ施設として利用し、災害時に災害救助法に基づく応急住宅として被災地に移設する官民協働の取り組みです。
2018年、西日本豪雨によって被害を受けた岡山県倉敷市で初めて災害救助法に基づき利用され、その後、北海道胆振(いぶり)東部地震、2019年の台風19号、2020年7月の豪雨で被害を受けた熊本県球磨(くま)村でも採用されています。

球磨村で採用された移動式木造住宅は、茨城県小美玉(おみたま)市で宿泊研修施設として利用されていた社会的備蓄からも提供され、建設型応急住宅と比較して1个月程度早期に入居することができました。
社会的備蓄を普及するためには、恒久住宅と同等の耐震性等の安全性と断熱性などの住環境性能を有するとともに、解体せずに移設し早期に入居が可能となる迅速性と移動性、何十年にもわたり何度でも移設しながら長期間再利用できる経済性が求められます。

■移動式木造住宅で避難生活の質を向上
現在採用されている移動式木造住宅は、輸入木材で製造されているものですが、それらに加え、100%国産木材を利用した移動式木造住宅の普及により、森林保全や林業振興、土砂災害の防止など、国土強靭化と地球環境の保護にも貢献できるものと期待しています。

移動可能な住宅は、災害対策に留まらず、新型コロナウイルス感染症対策の施設として、また、テレワークを支えるシェアオフィスや、臨時発熱外来や経過観察施設、軽症者の仮設病室など、感染症対策の支援施設としての利用も期待されます。

グローバルキャンパスは、東日本大震災の教訓を踏まえ、避難生活の質の向上による健康被害の軽減に資する移動式木造住宅の普及とその社会的備蓄に貢献したいと思います。
また、気仙杉を利用した地産地消の移動式木造住宅の開発にも取り組みたいと思います。
(立教大学 大学院21世紀社会デザイン研究科 長坂)