写真を使い対象を克明に描く「スーパーリアリズム」で知られる画家、上田薫さんの展覧会が11月3日まで、横須賀美術館(神奈川県横須賀市鴨居)で開かれている。
上田さんはグラフィックデザイナーを経て、1970年ごろから動きの一瞬をとらえ、対象物をリアルに描く作品を発表。鎌倉市在住で92歳の今も創作に取り組んでいる。
初期から現在までの約80点が展示され、上田さんの50年を超える歩みを紹介する。代表作の一つ「なま玉子」シリーズでは、2メートル近い大型キャンバスに割れた殻から出た瞬間の卵を描く。ほかにスプーンですくい上げたアイスクリームやナイフを入れた果物などの瞬間を切り取ったような作品が並ぶ。
「泡」や「流れ」、「光」をモチーフにした精巧な作品や、かつて手がけた抽象画なども展示されている。同館は「本物にそっくりだという驚きや、はっとさせられる体験を純粋に楽しんでほしい」と話す。
入館料は一般千円。10月5日休館。問い合わせは、同館電話046(845)1211。