お客いる限り続ける 唯一の再開、住民喜ぶ 八代市坂本町「船津商店」

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総菜を購入した客にお裾分けのミカンを渡す船津商店の船津信行さん(左)=20日、八代市

 7月の豪雨で浸水した熊本県八代市坂本町坂本地区の「船津商店」が再開した。食料品や雑貨を扱う店は地区に2軒のみ。いずれも被災して閉まっていたため、住民は「近所で手軽に買い物できる」と喜んでいる。

 店主の船津信行さん(69)の両親が、約50年前に創業。現在は妻の万津子さん(68)と従業員の3人で営んでいる。豪雨で氾濫した球磨川の水は店舗があった鉄骨造の1階を超えて2階の住居部分に達し、1階の外壁は流されてしまった。

 船津さんは「人口が激減したら、店は持つだろうか」との心配もあったが、「店がなくなればお年寄りが困る」と再開を決断。釣りやゴルフの仲間らが連日、「頑張れよ」と声を掛けながら片付けを手伝ってくれたことも背中を押した。

 16日に再開した店には、総菜や野菜、洗剤などを並べた。20日、酢やちくわ、熊手を購入した近くの谷口邦昭さん(78)は「わざわざ八代の街中まで買いに行かんでよか」と安心していた。

 品ぞろえは被災前の6割ほど。地元に残った被災者らのニーズを聞いて増やしていくといい、船津さんは「お客さんがいる限り、店を続ける」と話している。(益田大也)