【詳細解説】緊急事態宣言はもう一度出すべき?出すべきでない?2020年7月電話・ネット意識調査

選挙ドットコムでは、7月11日(土)・12日(日)に日本国内の18歳以上の方を対象としたハイブリッド調査(電話調査とインターネット調査を同じ設問で同時に行う方式)による全国意識調査を実施しました。
電話調査(JX通信社と共同実施)では1,016件、インターネット調査(Gunosyリサーチを使用)では1,000件の有効回答を得ました。

「選挙ドットコムちゃんねる」でも選挙プランナーの松田馨氏に、今回の調査について解説をしていただきました。
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安倍首相「緊急事態宣言を発出する状況ではない」

「緊急事態宣言を発出する状況ではない」総理が説明|テレ朝news

安倍総理大臣は新型コロナウイルスの感染者数の増加に対し、緊急事態宣言を出す考えはないことを明らかにしました。 …

21日に行われた自民党の役員会に出席した安倍総理は、「依然として東京都で陽性者が増加している」と指摘する一方、重症者数が極めて低く抑えられていることや病床数などの医療体制もひっ迫していないことを理由として「緊急事態宣言を発出する状況ではない」と説明したということです。

今回の意識調査では、「首都圏を中心に全国で感染者が急増していることを受けて、再び緊急事態宣言を発出して外出や経済活動の自粛を求めるべきだという声が上がっています。あなたは、2度目の緊急事態宣言の発出の是非について、どう考えますか?」という質問を行いました。その結果をまとめました。

「速やかに発出すべき」が44.2%

ハイブリッド調査結果は上の図の通りです。

「速やかに発出すべきだ」が44.2%、「できるだけ時間をかけて様子を見るべきだ」が37.5%、「再び発出すべきではない」が18.3%となりました。

東京都では連日200人を超える陽性者が出ており、大阪でも大阪モデルが黄色信号、神奈川県では神奈川アラートが発出されました。そうした背景があり、このような結果になったと考えられます。

ネット調査と電話調査の比較は上の図の通りです。

ネット調査では「速やかに発出すべきだ」が51.0%、「できるだけ時間をかけて様子を見るべきだ」が28.5%、「再び発出すべきではない」が20.5%となりました。

電話調査では「速やかに発出すべきだ」が37.6%、「できるだけ時間をかけて様子を見るべきだ」が46.3%、「再び発出すべきではない」が16.1%となりました。

ネット調査と電話調査の比較では、「速やかに発出すべきだ」と「できるだけ時間をかけて様子を見るべきだ」に差がでました。これは回答者の年代の差が原因だと思われます。

ネット調査の回答者は40代以下の若い年代で構成されています。子育て世代のボリュームが多いので、陽性者の増加が不安を呼んでいるのかもしれません。回答者の年代が高い電話調査では、時間をかけて様子を見るべきという回答が最も多くなりました。

年代別・支持政党別・内閣支持層別の考えは?

年代別でのクロス分析は上の図の通りです。「18・19歳」「20代」「80代」はそれぞれ全体の10%にも満たないため参考値となります。

30代と40代では「速やかに発出すべきだ」が50%を超えています。これは先述の通り子育て世代などの若い世代の不安が表れた結果と言えます。

年代が上がるにつれて「速やかに発出すべきだ」と「できるだけ時間をかけて様子をみるべきだ」が入れ替わっていることも特徴的と言えます。

支持政党別でのクロス分析は上の図の通りです。

与党である自民党と公明党の支持層では「できるだけ時間をかけて様子を見るべきだ」が「速やかに発出すべきだ」を大きく上回りました。

また、無党派層(支持する政党はない)と立憲民主党や共産党などの野党支持層では「速やかに発出すべきだ」が「できるだけ時間をかけて様子を見るべきだ」を大きく上回りました。

そして、NHKから国民を守る党の支持層のみ「再び発出すべきではない」が最も多い結果となりました。

与党支持層と野党支持層で意見がはっきりと分かれた印象を受けます。

内閣支持でのクロス分析は上の図の通りです。

安倍内閣の支持層ほど「できるだけ時間をかけて様子を見るべきだ」と考えており、安倍政権を支持しない層ほど「速やかに発出すべきだ」と考えていることがわかります。

安倍政権の支持・不支持でも意見がはっきりと分かれた印象を受けます。

緊急事態宣言は今後どうなるのか

現在、東京都や大阪府を中心に新型コロナウイルス感染症の陽性者が増加しています。それを受けて7月30日に小池百合子東京都知事は東京都で感染拡大特別警報を発出しました。さらに悪化した場合は都独自の緊急事態宣言の発出も視野にいれています。

先日は岩手県でも初めての陽性者が確認されました。これで全国で陽性者が確認されたことになります。ウィズコロナ・ポストコロナの時代になり、経済社会活動と感染予防対策の両輪を回していく必要があると言われています。

検査数が増加し、病床数も充分に確保できるとはいえ、陽性者は減らしていくべきです。今後の国や地方自治体の対応に注目をしてまいります。

今後も選挙ドットコムでは毎月定例で意識調査を実施し、みなさまにお伝えしていきます。また、選挙ドットコムのハイブリッド意識調査では、これまでわからなかった全世代の声を集めることができます。政党や政治家の方からの依頼に基づいて調査を実施することも可能ですので、ご興味がある方はぜひお問い合わせください。

調査概要:調査は令和2年7月11日(土)と12日(日)に実施。日本国内の18歳以上の方を調査対象とし、有効回答数は電話調査(JX通信社との共同実施)で1,016件、インターネット調査(Gunosyリサーチを使用)で1,000件を取得。電話調査は無作為に電話番号を発生させるRDD方式をオートコールで実施。ネット調査ではスマートフォンアプリのダウンロードユーザーを対象にしたアンケートツールにより実施。各数値は小数第2位以下を四捨五入。

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