雨で濁っても釣れる!? 渓流トラウトアングラー必見の「濁り対策」をご紹介

人気河川ともなれば釣り人自身が魚に与えるプレッシャーも強くなってくるが、濁りさえ入ればそれが緩和されることもある。タイミングによっては爆釣も…?

楽しみにしていた休日の釣行。釣れるイメージも十二分に膨らんで準備万端、お目当ての渓流まで出掛けたにもかかわらず、いざ釣り場に到着してみたら水が濁っていてがっかり。なんていう経験はないだろうか? そんな時は、素直に別の河川のトラウトを求めて移動するのも選択肢だが…濁りの程度によっては意外とチャンスになり得ることをご存じだろうか?

解説はトラウトアングラー、木下進二朗さん!

【Profile】
木下進二朗(きのした・しんじろう)
静岡県中部や伊豆地方の川をホームとするトラウトアングラー。タックルメーカー・ジャクソンのフィールドテスターを務める。熱心にトラウトを追う傍ら、ソルトの釣りにも傾倒するマルチなアングラーでもある。

釣りにおける「濁り」の影響

濁りとは水に細かい塵や泥が浮遊する事で起こる。しかし、そもそもそれらはどこから来るのだろうか?

まずは田畑の代掻きや田植え。近隣の農家がいっせいに行うため、河川に流入する濁りは強くなる。特に下流部では顕著だ。

畑作業の時期と重なってしまうと川の色に濁りが交じる可能性がある。

そして地盤の弛みにより露出した土や河川改修工事なども同様に濁りの原因となりうる。

それらが雨水や沢の水に流され、川に注ぐ事で下流側が濁っていくことになる。

数日前や前日に雨が降れば、それが沢などを伝って河川に流入する。こうした場合には澄んだ水を探して上流に移動したり、支流筋に逃げるのが一般的。

【デメリット】水が濁ることによる懸念

足元にはお気をつけて!

ごく単純な話だが、川の濁りによって魚の視界が悪化するため、エサを追ったり場所を移動したりといった行動を取りづらくなってしまう。それがルアーフィッシングであればなおさらだ。魚にいかにルアーに気づかせるかが問題になってくる。

どの程度の濁りまで魚はルアーを認識できるのだろうか。イワナはヤマメやアマゴよりも濁りに強いイメージがある。

加えて、濁りは釣り人にとっても危険要素だ。遡行の際、足下が見えないがために転倒の危険があり、また、水深も目視で確認することは難しい。渡ろうとした所が思っていた以上に深くて流されてしまうことも考えられる。

ウェーディングスタッフ、もしくは現地でも調達できる手頃な木の枝などを活用しつつ、とりわけ安全に配慮しながら釣りを行う必要がある。

もちろん、この写真のように大増水してしまえば、川に入ること自体が危険。自重しなければならない。

【メリット】濁ったほうが釣りやすい?

ポジティブな要因も

その一方で雨により地中のミミズや虫などが掘り起こされ、川に流れるエサの量が増えるという考え方もできる。また地上から水中が見えづらくなることで釣り人からのプレッシャーも緩和されるし、同様に魚たちが捕食者である野鳥に怯えず行動できるのも利点と言えるだろう。

人気河川ともなれば釣り人自身が魚に与えるプレッシャーも強くなってくるが、濁りさえ入ればそれが緩和されることもある。タイミングによっては爆釣も…?
濁りが入ると水中が見えづらくなるので、魚にとっては野鳥の襲撃を回避できる安全な状況だとも言える。濁りの程度によってはよくルアーを追うようになる。

濁りに負けずに釣る方法は「3点」

では魚の視界が悪くなる濁りの中で釣る際、いつもと同じ様にアップストリームにテンポ良く釣り上がる方法で良いのだろうか。いや、きっとそうではないだろう。

エサ釣りでは、他のエサよりも強い臭いを放つ「ミミズ」に釣果が集中するという話を聞いたことがある。ルアーも同じ様に濁った状況にマッチした釣り方をした方が良いだろう。

【1】ダウンorダウンクロスでアピールは長めに!

本来、渓流でのルアーフィッシングは、アップストリームでテンポ良く上流に釣り歩くのが基本となる。しかしこれは魚たちが上流から流れて来るエサを視認できることを前提とした釣り方だ。

したがって魚の視界が遮られる濁りの際は、ポイントに対して上流側に立ち、ダウンクロスやダウンストリームでルアーを流し込むようにアプローチするのが得策。時にはリーリングを止め、「ステイ」を織り交ぜて長時間アピールの間を取ることが必要となる。

【2】濁りに強いカラーに見直してみる

一般的に濁りに強いとされるルアーカラーは、ゴールド、チャート、ピンク、オレンジ、パール、ブラックと案外多い。

フラッシングでアピールしたい場合はゴールド。視認性を高めたい時は、チャート、ピンク、オレンジ、パール。シルエットがはっきりするブラックも期待出来る。

最近では、グローを施したモデルも多く出回っているのでそれも面白い。水色は地域の地質や濁りの発生原因によって変わるのでその時にマッチした色を探すのが良いだろう。

【3】ハイアピールタイプのルアーを用いる

また、魚がルアーを目視しにくいような場合でも、アクションで濁りに負けない音や波動を発生するタイプのルアーであればバイトを誘引できると言える。

音や水押しを意識したルアータイプがこれに当たる。

濁った状況下に最適なルアーとは?

1点でネチネチ誘いやすい【アーティストFR】

ジャクソンのFRシリーズはレンジキープ力があり、ダウンでも浮き上がることなく魚のフィーディングゾーンに留まってくれる。

アーティストFRシリーズ(ジャクソン)

【スペック】
●全長:55、70mm ●重量:4、6g ●タイプ:シンキング ●本体価格:1500、1600円(税抜き)

ダウンでの釣りでも浮き上がることなく、一定のレンジを保てる設定。渓流では55mmモデルを、本流では70mmモデルを選択することが多い。

また「トラウトチューンフローティング」も頼りになる。

バランスのよいトラウト専属ミノー【トラウトチューンフローティング】

トラウトチューンフローティング(ジャクソン)

【スペック】
●全長:55mm ●重量:3g ●タイプ:フローティング ●本体価格:1300円(税抜き)

ルアーに浮力があるフローティングタイプの傑作ミノー。流れを受けてもバランスを崩しにくいのが特徴。流れの弱い場所であってもルアー自体がしっかりアクションしてくれるため、非常に扱いやすい。

2枚のブレードとボディの波動で濁り知らず【キャールブレード】

そしてもうひとつ、『キャールブレード』というカエルをイミテートしたアクションタイプのアイテム。

キャールブレード(ジャクソン)

【スペック】
●全長:35mm ●重量:3.5g ●タイプ:シンキング ●本体価格:1300円(税抜き)

2018年に発売されたカエルプラグ。足に付けられた2枚のブレードが主なアピールポイントになるが、ボリュームのあるボディが発生する波動もポイント。視覚と波動の存在感で魚にアピールしてくれるオススメの1本だ。

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