京都2世・3世の会 被爆証言集刊行 広島・長崎の記憶50人分 「継承のきっかけに」

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「語り継ぐヒロシマ・ナガサキの心・上巻」

 被爆時の壮絶な体験や戦後の混乱期の苦労、自身や子、孫の健康不安、平和への思い-。「京都『被爆2世・3世の会』」(平信行世話人代表)は被爆75年の節目に「語り継ぐヒロシマ・ナガサキの心・上巻」(かもがわ出版)を刊行した。会員が聞き取りした被爆者計50人の証言がつづられている。
 同会は被爆体験の継承、被爆2世、3世の健康不安解消などを目的に2012年に結成。主に京都で暮らす長崎、広島両市の被爆者の声に耳を傾けてきた。
 人前で話したり、文章にまとめたりすることが難しかった被爆者も「聞き取りなら」と、つらい経験を語ってくれたという。「核兵器が原爆投下時だけでなく生涯にわたって影響があることを知る必要がある」(平さん)との思いから、被爆時の体験だけでなく生い立ちや戦後の暮らし、自身や家族の体調の変化などを丁寧に聞き取った。
 50人中、長崎の被爆者は15人。13歳のころ自宅で被爆した藤田晴子さん=大阪府在住=は爆発音と爆風に死を覚悟し、戦後も下痢や微熱、頭痛などに悩まされ続けた。被爆者の故松添博さんの絵本「ふりそでの少女」についても言及。絵本には原爆10日後、振り袖姿で火葬された2人の少女が描かれており、このうち大島史子さんは県立長崎高等女学校の同級生だった。席が隣で仲良しだったことや、長年気掛かりだった消息を松添さんの絵本を機に知り、平和を願い墓参りをしたことなどを語っている。
 平さんは「全国の被爆2世、3世のみなさんに親や祖父母らの被爆体験を継承し、自らの思いも後世に伝えてほしい。この本がそのきっかけになれば」と語った。上巻はA5判521ページ。1冊2千円(税別)で同会などで販売中。下巻は来年度中の完成を目指している。問い合わせは原水爆禁止京都協議会(京都原水協)内の会事務所(電075.811.3203)。