海外拠点に人員戻す 北陸の製造業

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 海外に拠点を置く北陸の製造業が、新型コロナの影響で帰国していた人員を現地に戻し始めている。中国では経済活動が徐々に回復しており、今年2月の春節(旧正月)以来、約半年ぶりに現地へ向かった駐在員もいる。海外拠点の人員が手薄となり、営業活動が十分に行えない状況が続いており、各社は体制を再び整え、取りこぼした受注の獲得を狙う。

 「東南アジアは国ごとに感染状況が大きく異なる。タイでは新規感染者がほとんどいないが、インドネシアでは増え続けている」 17日、石川県鉄工機電協会のウェブセミナーにタイから参加した食品加工機械メーカー、アサヒ装設(白山市)の山本洋志会長はこう語った。

 山本会長は、感染拡大前は月に1、2週間ほど子会社があるタイに滞在していたが、3月以降は渡航できない状態が続いた。感染が収まってきた7月末に現地入りした山本会長は「ホテル待機の期間が2週間あったが、現地の状況がどうしても気になった」と話した。

 中国に拠点を置く津田駒工業(金沢市)は今月、帰国していた日本人社員4人を現地拠点に戻した。社員らは春節以降、日本国内にとどまっており、中国拠点は現地採用のメンバーで生産活動を続けていた。

 高松機械工業(白山市)は8月中旬、中国の拠点に駐在員約10人を送った。徐々に工作機械の営業活動が行えるようになっており、担当者は「この半年間は日本から電話やウェブを通じて営業していたが、現地で対面によって活動できるのは大きい」とし、他の海外拠点についても感染拡大前の状況に徐々に戻していくという。

 海外拠点への人事異動を再開する企業も出てきた。

 北陸電気工業(富山市)は今月末にマレーシアへ1人、10月にタイへ1人を赴任させる。感染拡大以降は、自由に渡航できず、異動を見送っていた。タイは人員を入れ替え、マレーシアでは人員を補充する。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)の担当者によると、海外の感染状況は国によってばらつきがあり、経済活動の回復具合も異なる。石川県内のある機械メーカー担当者は「人員を海外に派遣しても、現地で動けなくなってしまっては意味がない。個別の状況をみながら対処していくしかない」と話した。