漁師になる夢へ踏み出す コロナ離職の男性2人、大阪から陸前高田に移住

©株式会社河北新報社

千田代表(右)から養殖カキの説明を受ける布部さん(右から2人目)と大野さん(同3人目)

 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに離職し、岩手県陸前高田市に移り住んだ大阪府出身の若者2人が23日、漁師になるための一歩を踏み出した。今後、地元の水産会社で養殖を中心に漁業のいろはを学び、将来は独立を目指す。2人は「かっこいい漁師になる。今は楽しみしかない」と張り切っている。

 移住したのは大阪市出身の大野広貴さん(26)と大阪府松原市出身の布部司さん(26)。陸前高田市の広田湾でカキやワカメの養殖を手掛けるマルテン水産の従業員となった。

 初めて現場に出た23日は小型船に乗り込み、同社の養殖いかだを見学。千田勝治代表(72)から「カキは出荷まで3年かかる」「いかだには地元の杉の木を使っている」などと説明を受けた。

 今後はカキの出荷作業やワカメ養殖の準備を手伝う。来年4月からは岩手県などが開設する漁業者養成機関「いわて水産アカデミー」に通い、専門的な知識や技術を学ぶ。

 大野さんと布部さんは友人同士。以前は大野さんが飲食関係、布部さんが不動産関係の仕事をしていた。新型コロナの影響で仕事が減り、給与も減少。今年5月ごろ、大野さんが「小さい時からの夢だった漁師になろう」と決意し、布部さんを誘った。

 いわて水産アカデミーは漁業の未経験者でも受講できるため、遠く離れた岩手への移住を決めた。7日に市内の市営住宅に入居し、新型コロナの感染防止のため、2週間の自宅待機を続けていたという。

 大野さんは「船に乗り、これから働く実感が湧いた。陸前高田を盛り上げるように頑張りたい」、布部さんは「普段口にするカキは時間をかけて育てていることを初めて知った。地域に貢献できる漁師になる」と力を込めた。

 陸前高田市は東日本大震災で大きな津波被害に見舞われ、養殖施設も大打撃を受けた。漁業者の高齢化や担い手不足などの課題も深刻化している。千田代表は「漁業には厳しさもあるが、めげずに続け、地域の後継者となってほしい」とエールを送る。