災害備蓄品4カ所に集約 10月にも福島県 保管、配送体制強化

©株式会社福島民報社

 昨年十月の台風19号と記録的大雨を受け、県は十月にも災害備蓄物資の保管、配送に新たな方式を導入する。県有施設など十七カ所に保管している物資を防水性が高く、温度管理設備が整った民間倉庫四カ所に集約する。有事の際は大型トラックで各市町村に届ける。台風19号では一部の備蓄施設が浸水したほか、物資の搬出・配送に遅れが生じた。災害の教訓を踏まえ、県民の命に関わる物資を迅速に届ける態勢を整える。

 備蓄物資の保管・配送のイメージは【図】の通り。県民約一万人が三日間、生活するための食料や水に加え、粉ミルク、毛布、紙おむつ、簡易トイレなどを備えている。県は県倉庫協会と協議し、福島、会津若松、郡山、いわき四市の民間倉庫を借り上げて物資を集約する。倉庫内では温度や湿度を管理し、物資の品質を保つ。災害が起きた場合は県トラック協会の加盟事業者の大型トラックが、物資を希望する市町村の集約拠点に配送する。県や市町村の職員が拠点から各避難所に運ぶ。

 現在の方式では県や市町村の職員が、保管先から避難所までの配送を担うケースが多い。県は一部業務を県トラック協会に委託することで、災害対応に専従する職員の確保にもつながるとしている。

 県は国の防災基本計画に基づき、二〇一二(平成二十四)年度から本格的に物資の購入を進めてきた。保管は経費節減の観点から県立高や県立病院、福島空港などの空き部屋で行ってきた。

 ただ、一部施設で物資が建物の上層階に置かれていたほか、搬出路が確保されていない事例があり、台風19号の際には運び出しに時間を要した。さらに、いわき市内郷の旧家畜保健衛生所防災倉庫が新川の氾濫で浸水被害を受けた。県は検証作業を踏まえ、保管体制の抜本的な見直しが急務と判断した。

 県外では、岩手県が東日本大震災を契機に備蓄物資の在り方を見直し、県消防学校など五カ所に物資を集約している。県は岩手県の取り組みを参考に、新方式の導入を決めた。

 台風19号などで住民七人が死亡した本宮市は、県や国から水や食料、暖房器具などの支援を受けた。市防災対策課の担当者は「より安全で確実な保管・配送体制が整えば、被災者支援に集中できる」と期待した。

 一方、物資を都市部の四カ所に集約することで、中山間地域など保管先から離れた場所への速やかな配送が課題となる。県災害対策課は短時間で届けるためのルート選定などを関係団体と協議する方針で、「県民の安全安心を守るため、しっかりとした体制を構築したい」としている。

 県は、関連経費千十八万円を盛り込んだ二〇二〇(令和二)年度一般会計補正予算案を九月定例県議会に提出している。