ダイヤ守れ!JRが深夜の闘い

動物退散へ、奥羽本線と仙山線で衝突対策

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JR奥羽本線羽前中山―かみのやま温泉間で忌避剤を散布する作業員=今年8月(JR東日本仙台支社提供)

 JR奥羽本線と仙山線で、イノシシやカモシカなど野生動物との衝突による列車の遅れが相次いでいる。野生動物が山間部で生息域を広げているためだ。JR東日本は臭いを放つ忌避剤を散布したり、動物を遠ざける最新装置を設置したりと、あの手この手で定時運行に努めている。

 山形新幹線つばさを含む奥羽本線と仙山線で、県内で動物との衝突が発生しダイヤが乱れた件数は年々、増加の傾向にあるといい、今年4月から9月15日までは24件で、前年同期より4件増えた。本県(庄内、米坂線の一部を除く)と宮城、福島県からなるJR東日本仙台支社管内で19年度に発生した同様の輸送障害は134件で、15年度の2.7倍に上っている。

 動物が衝突すればブレーキの異常の有無などを確認する必要があり、運転再開まで最短でも30分、夜間や車両の下に動物が挟まった場合は1時間以上を要する。カモシカは天然記念物のため自治体への報告も必要で、業務量は一層増す。

 同社は獣害対策を重点課題として支社間で情報を共有し、取り組みを強化している。線路に唐辛子エキスやヒトデが原料の臭いを発する忌避剤を散布するほか、光と音で動物を遠ざける装置や、線路への侵入を防ぐ柵を設置している。装置が1台約20万円、柵が1メートル当たり約4万円であるのに対し、忌避剤は1メートル当たり約350円と最も安価で、効果は約3カ月間認められるという。

 散布作業は、最長3時間半ほどかかる地道で過酷なものだ。年2、3回実施しており、今年8月にも奥羽本線羽前中山―かみのやま温泉間の約1.4キロ、仙山線山寺―高瀬間の約2.5キロで行った。防護服やライト付きのヘルメットを身に着けた職員15~20人が終電後の深夜から明け方にかけ、線路上を歩きながら計800リットルの忌避剤をスコップでまく。強烈な臭いの粉が舞う中、蒸れる防護服での汗だくの作業。わずかな明かりや足跡、掘り起こされた地面を頼りに、イノシシやクマの出現を警戒しながら行うという。

 同社で獣害対策を行う輸送サービス品質改革室は「衝突発生現場や目撃情報の多い場所から優先的に忌避剤をまき、少しでもダイヤの乱れを減らしたい」と話している。