コロナ禍の在宅勤務、子どもや夫にイライラしたら......

働くママの中には、コロナ禍で在宅勤務になっている方もいるのではないでしょうか。子どもの通園や通学は、少しずつ日常に戻りつつあるようですが、行事の中止などもあり、今まで通りではないことも多いですよね。そんな中で感じるイライラやストレスをどのように考えたらよいのでしょうか。

著者紹介
高祖常子(こうそ・ときこ)

子育てアドバイザー、キャリアコンサルタント

資格は保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級ほか。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか各NPOの理事や行政の委員も務める。子育て支援を中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行っている。著書は『男の子に厳しいしつけは必要ありません』(KADOKAWA)、『感情的にならない子育て』(かんき出版)ほか。3児の母。

突然、在宅勤務になるストレス

今回のコロナ禍で在宅勤務になった方のほとんどは、「突然」そうなったのではないでしょうか。在宅勤務に関しては、メリットもデメリットも多くの声を聞いています。

メリット

  • 通勤時間がなくなり、その分の時間を有効活用できること

デメリット

  • そもそも在宅勤務に慣れていない(新しいPC操作などが負担)
  • 仕事と家事・育児との切り替えが難しい
  • 子どもも在宅の場合は、仕事が進まない
  • 夫婦ともに在宅の場合の、家事・育児分担でイライラ

ほかにもいろいろあると思いますが、要は、今までと違った生活様式になったことによるストレスです。「大変」は「大きく変わる」と書きます。大きな変化が起こっているときは、それに合わせた体制を考えて工夫し、整える必要があります。

子ども・夫へのイライラと対処法

在宅勤務のストレスはいろいろありますが、ここでは、子どもや夫へのイライラポイントを中心に考えていきましょう。

子どもが「コロナやだ」など、どうしようもないことを言う

ママ自身も困っているところに、さらに不満をぶつけてきたら、困りますよね。でも、子ども自身もテレビや友だち同士の会話などから、いろいろな不安を感じているはず。不安な気持ちを受け止めつつ、「何がいやなのかな?」「何が一番心配?」と、子どもの気持ちを具体的に聞きながらほぐしていきましょう。

そのうえで、「手洗いをしっかりすると、コロナも近寄ってこなくなるんだって」などと、子どもにもわかる言葉で説明し、対策を伝えるようにしましょう。

在宅勤務中、子どもの対応で仕事がはかどらない

ママと一緒に過ごしていれば、子どもが相手をしてほしくなるのは当たり前。年中・年長さんくらいなら、塗り絵やブロックを作るなど、ある程度ひとりで遊べる子もいます。それでも完成すれば「ねえ、見てみて」と声をかけてきますよね。

ママとしては仕事を中断することになり困るわけですが、子どもとしては時間を共有し、完成を見てほしいのです。

子どもは、共感し、ほめられると自己肯定感も育まれ、さらなる意欲につながります。忙しくても少しでも手を止められれば、「すごいのができたねー」などと声をかけてあげましょう。すぐに見られないなら、「あと10分で一段落するから、おやつ食べよう。そのときにゆっくり見せてねー」などと伝えてもよいでしょう。このとき大事なのは、約束したら必ず守ること。「あとでねー」と言って、そのあとに見てくれないと、子どもはとてもがっかりして、創作意欲もわかなくなってしまうでしょう。

子どもが乳幼児の場合は、子どもを見ながら同時に仕事に集中するのは、まず難しいと考えましょう。園が休みの場合は、一時預かりやファミリーサポート、ベビーシッターなどの利用を考えた方が賢明です。夫婦とも在宅勤務の場合は、2人のコア時間をずらす、勤務時間を短くするなどで工夫を。どちらかが仕事に集中しているときは、どちらかが子どもの対応をするなど、役割分担を決めておきましょう。

同じ在宅勤務なのに、何もしない夫にイライラ

夫も在宅勤務で家にいるのに、ママばかりが食事を作っている。いつもより作る量も増えてイライラ……という声も、ずいぶん聞きました。このような場合は、自分だけでストレスを抱えず、ママが困っていること、協力してほしいことを夫や子どもにも伝えましょう。

家事を書き出し、家族会議を開いて役割分担を考えてみるのもよいですね。1週間ごとにじゃんけんで担当を変えていくというのもおもしろいかもしれません。

また、一緒に過ごす時間が増えると、だらだらゴロゴロしている子どもの様子が目に入り、イラっとしてしまうことも。そんなときは、子どもとの間で、ルールを決めるとよいかもしれません。朝、お手伝いや宿題などのやるべきことを確認。そのタスクをクリアしたら、好きなことをしていいとする、といった形です。

時間の使い方は、人それぞれ。ママ自身が忙しく、心の余裕がなくなってしまうと、子どもや夫が寛いでいる姿を見るだけで、苛立ちを感じてしまうことも。ママ自身も時には手抜きをしたり、ゆっくりしたりする時間を作ってみてはいかがでしょうか。

コロナ禍を乗り越えて

コロナ収束は、まだまだ先が見えない状況です。

困ったときはママ一人で抱え込まないこと。その都度、家族やほかの人の力も借りていく体制を考えていきましょう。イライラを大きく感じているときは、いっぱいいっぱいになっているサインです。ママ自身の心や体へのケアを優先し、家族で協力しながら乗り切っていきましょう。きっと家族の絆も強くなっていきますよ。

これまでの【子育てアドバイザー高祖常子さんに聞く「イライラしない子育て」】は

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