ニュージーランド、マスク着用を緩和 新型ウイルス感染縮小で

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ニュージーランド政府は23日、新型コロナウイルスの感染が縮小していることを受け、公共交通機関でのマスク着用義務を解除すると発表した。

直近のアウトブレイクが発生した最大都市オークランド市内と、飛行機の搭乗時のみ、引き続きマスクの着用が義務付けられる。

その他の地域では21日から、すべての新型ウイルス対策の制限が解除されている。

ニュージーランドでは新型ウイルス感染症COVID-19への迅速な対策が評価され、6月には従来の生活がほぼ戻っていた。しかし8月に入り、オークランドで再び市中感染が発生した。

オークランドは再度、一時的なロックダウン(都市封鎖)状態に置かれた。その他の地域でもさまざまな制限が敷かれた。

ニュージーランドのこれまでの感染者数は1468人、死者は25人にとどまっている。

ニュージーランドでは21日時点で、7日間連続で市中感染が報告されなかったため、オークランドを除く全ての地域で警戒レベルが最も低い1に引き下げられた。

レベル1では、他人と距離を取る施策や集会の人数制限などがなくなるため、市民生活はほぼ元通りになる。また、公共交通機関でのマスク着用も義務ではなくなり、営業時間や業務形態に対する制限もなくなる。

ニュージーランド政府は、市中感染の証拠がない場合には顔を覆う必要はないとしているが、交通機関を利用する際にはマスクがあった方が良いとしている。

一方、オークランドの警戒レベルはレベル2に据え置かれているため、市内では引き続き、交通機関でのマスク着用は必須だ。

このほか、オークランド発着の航空便およびすべてのニュージーランド航空便では、搭乗時にマスクが必要となる。

23日には新たに3件の市中感染が報告されたが、いずれもオークランドのクラスターとは関係なく、クライストチャーチからオークランドへのチャーター便での感染だと分かっている。

なぜマスク着用が問題なのか

パンデミックが始まって以降、顔を覆うマスクは議論の対象になり、分裂を生み出してきた。

アジア各国では以前から受け入れられている一方、アメリカやヨーロッパ、そしてニュージーランドでは着用を拒否する人たちも多い。

ニュージーランドではつい4週間前、警戒レベル2以上の地域で公共交通機関を利用する際にマスク着用が義務付けられたばかりだ。

政府のCOVID-19対策に助言しているオタゴ大学のマイケル・ベーカー教授(公衆衛生学)は、市中感染が4週間見られず、ウイルスが完全にいなくなったと確認できるまでは「公共交通機関や介護施設といった特定の場所では引き続きマスクを使うべきだ」と話し、義務化の解除に懸念を示した。

一方で、マスクが与えている影響についても理解していると述べた。

「ウイルスがもういないと考えている人たちにマスクを着け続けさせるのは難しい。文化に浸透していないし、どこかの段階で慣れるとも思わない」

マスク着用と、他者と距離を取る施策を積極的に進めていたジャシンダ・アーダーン首相は21日、支持者とマスクなしで撮影した写真について謝罪。間違っていたと認めた。

他の国ではマスクの義務化進む

アメリカのシンクタンク、外交問題評議会が8月に発表した報告によると、世界の半数以上の国で、COIVD-19の流行対策としてマスク着用が義務付けられているという。

先陣を切ったのはヴェトナムで、3月には着用を義務付けた。

台湾もマスク着用について厳しいルールを決め、8月には期間の延長も発表。どちらの国も、感染者数を低く抑えていることで国際的な評価を得ている。

2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)を経験している香港などでは、体調不良時のマスク着用はすでに文化の一部となっている。

一方、世界で最も新型ウイルスによる死者が多いアメリカでは、マスクは政治的な分断を招いている。

「アンチ・マスカーズ(反マスク派)」を標榜する人たちは着用義務化のルールに反発し、抗議デモを展開している。

ドナルド・トランプ米大統領は先に、マスク着用は個人の選択の自由だと述べ、専門家らからメッセージが一貫していないと批判を受けた。

マスクをめぐっては、世界保健機関(WHO)や米疾病対策センター(CDC)が、態度を変化させてきたことで混乱を招いた側面もある。

両機関は当初、一般市民がマスクを着けた方が良いとする十分な証拠がないと述べていた。

しかしその後、多くの証拠が出てきたことから、他人と距離を取れない場所ではマスクを着けることで感染を防げると助言した。

シンガポール国立大学のデイル・フィッシャー教授(感染症専門)は、ニュージーランドがマスク着用義務を緩和したのは論理的だと話した一方、外国からの渡航を再開した場合にどうなるのかが疑問だと指摘した。

「短期的には素晴らしいことだ。マスクを着けず、人のひしめくパブでラグビーを観戦できる」

「しかしそのうちに国境を開くことになり、そうなればまた感染者が出てくるだろう」

その上で、効き目も持続期間も完全なワクチンという「おとぎ話」は誰も信じていないのだから、マスクは「今後も重要な予防策になるだろう」と話した。

(英語記事 New Zealand eases mask rule as Covid cases drop

取材:プリーティ・ジャ