韓国公務員、海上から北朝鮮目指すも銃撃受け死亡

朝鮮半島の西側の韓国の領海を航行中だった漁業指導船で、船員1人が行方不明になる事件が起きた。この乗組員は北朝鮮に向かおうとしたものの、途中で北朝鮮側から銃撃を受けて死亡したものと見られる。

韓国国防省は24日、小延坪島南方1.2マイル(2キロ)の海上で21日午後12時51分頃、海洋水産省所属の漁業指導船の船員1人が行方不明になったと海洋警察が通報を受けたと明らかにした。

韓国の聯合ニュースは軍関係者の話として、行方不明になったのは、全羅南道木浦の西海漁業指導管理団に所属するA氏(47歳)だと伝えた。昼食時間の午前11時半にA氏が姿を見せず、船内と海上を捜索したが、船上で靴だけが発見されたため、通報したとのことだ。

また、韓国の情報当局関係者の話として、A氏は船を降りて北朝鮮入国を目指した模様だとも報じた。詳しい経緯は明らかになっていないが、船がいた地点から海上の軍事境界線にあたる北方限界線までは約10キロ。そこからさらに最も近い北朝鮮領は約9キロほどだ。

付近の海上では、脱北者や気象悪化などで漂流する船が発見されることがしばしばある。また、泳いで韓国にたどり着いた事例もあるが、今回のように20キロ近い距離を泳ぐのは現実的でなく、救命ボートなどを利用したことが考えられる。

しかし男性は、途中で北朝鮮側からの遠距離射撃を受けて死亡したもようだ。北朝鮮軍は新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために、防疫指針に従って銃撃を行い、火葬したものと思われる。

海洋水産省の関係者によると、A氏は妻と子どもの4人家族で、普段の勤務状況に問題はなかったという。

韓国軍は24日午前、一連の事件を公式に確認し、北朝鮮に対して釈明と責任者の処罰を求める立場を明らかにした。

© デイリーNKジャパン