世界的な自動車部品メーカー、ギャレットモーション社がチャプター11を申請

 スイスに本社を置く自動車部品メーカーで、ニューヨーク証券取引所に上場するGarrett Motion Inc.(以下、ギャレットモーション社)は9月20日、米国ニューヨーク連邦裁判所に破産法第11条(チャプター11)の適用を申請した。

 ギャレットグループは乗用車などに搭載されるターボチャージャー分野で高いシェアを持ち、グローバルに事業展開している。2019年12月期の連結売上高は32億4,800万ドル(約3,507億円)をあげていたが、過剰債務と新型コロナウイルス感染拡大による自動車の世界的な需要減退で業績が悪化していた。
 ギャレットモーション社は、チャプター11を申請後、自動車関連のM&Aなどで実績を持つ米国の投資ファンド、KPSキャピタルパートナーズの傘下に入ることで合意した。KPSは約21億ドルでギャレットモーション社の全資産を買収し、2021年初旬をめどに売却プロセスを完了する予定。

 ギャレットグループの日本事業は、ギャレットモーションジャパン(株)(TSR企業コード:292623399、東京都港区)が担っている。同社は埼玉県本庄市に工場を置き、国内の主要自動車メーカーを対象に2019年12月期の売上高は315億円をあげている。コロナ禍の影響が懸念されるなか、これまで黒字経営が続き自己資本比率50%以上と良好な財務体質を維持している。
 ギャレットモーションジャパンの担当者は東京商工リサーチの取材に対し、「(当社は)法的申請などの予定はなく、事業は通常通り継続する。資金面はギャレットモーション社に依存しておらず、引き続き取引先への支払いも滞りなく可能」とコメントした。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年9月25日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

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