メルセデスF1のハミルトン、タイム誌の2020年版『世界で最も影響力のある100人』に選出

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 6度のF1世界チャンピオンであるルイス・ハミルトン(メルセデス)は、人種差別に対する積極的な活動と、気候変動についての発言により、『タイム』誌による2020年版の世界で最も影響力のある100人に選ばれた。

 ハミルトンはF1が人種差別に対して力強く一貫性のある姿勢を打ち出すように促し、グランプリでレース前に他のドライバーやチームメンバーに先んじて“ひざまづく”行動にでることで、『Black Lives Matter』(黒人の命は大切)の理念を示すことに成功した。またシーズン開始当初からメルセデスF1の支援を得ており、2020年型マシン『W11』のカラーリングを全体的に黒く変え、公に彼らの支援を示している。

 一方ムジェロ・サーキットで行われた第9戦トスカーナGPでは、ハミルトンは『ブレオナ・テイラーを殺した警官を逮捕せよ』と書かれたTシャツを着用して物議を醸していた。

2020年F1第9戦トスカーナGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 NASCARのドライバーのババ・ウォレスは、彼自身が今年初めにいわゆる“ヘイトクライム”の被害に遭っているが、ハミルトンが政治家やビジネスマン、セレブリティ、ミュージシャンとともに今年のリストに加わったことを称賛した。

「僕はNASCARのトップレベルにいる唯一の黒人ドライバーだ。だからルイスが唯一の黒人のF1ドライバーであるという例は、僕にとって特に意味があることなんだ」とウォレスはタイム誌に語った。

「彼は僕たちが行動を起こすよう示している。毎週末のように彼がレースを制しているのを見ると、僕も同じことをしてやろうとやる気になる」

「彼の活動は世界も動かしているよ。ルイスはBlack Lives Matter運動に国際的な注目を集めた。ソーシャルメディアやF1イベントでの彼の啓蒙活動によってね」

「ルイスの覚悟、彼のオーラ、人種差別を排除するのに環境を活用するすべてのチャンスを活かすための彼の能力、そうしたことはレーシングドライバーや他のアスリートのモデルを超えている。彼は誰にとっても手本だ」

2020年F1第7戦ベルギーGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)&セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)

 この100人のリストにおいて、ハミルトンは『タイタン(重要人物)』というカテゴリーに入れられている。彼は2016年にもリスト入りしているが、その時の理由は主に彼の競技面での業績に関することだった。これについてF1やインディカーでチャンピオンを獲得した経験を持つマリオ・アンドレッティは、「ルイス・ハミルトンは彼のF1キャリアの最初から特別だったと言えるだろう」と付属記事に書いている。

 今年スポーツ界から選ばれた顔ぶれとしては、NFLのスーパーボウルを制したカンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ、最近引退したNBAのバスケットボール選手であるドウェイン・ウェイド、テニス界のスターである大坂なおみだ。

 他に2020年のリストに含まれているのは、Black Lives Matter運動共同創設者のアリシア・ガーザ、パトリッセ・カラーズ、オパール・トメティ、宇宙飛行士のクリスティーナ・コックとジェシカ・メイア、俳優のミカエラ・コール、マイケル・B・ジョーダン、セレーナ・ゴメス、およびライターのフィービー・ウォーラー=ブリッジらだ。

 チェリストのヨーヨー・マ、免疫学者のアンソニー・ファウチ、政治家ドナルド・トランプ、ジョー・バイデン、カマラ・ハリス、ナンシー・ペロシ、アンゲラ・メルケル、習近平らもリストに名を連ねている。

 タイムのCEO兼編集長を務めるエドワード・フェルゼンタールは、今年のリストにある影響力のある人々は、過去数年とは非常に異なって見えると述べた。

 新型コロナウイルスのパンデミックが多大な影響を及ぼしている一方で、警察官の手によって黒人男性のジョージ・フロイドが死亡したことで、Black Lives Matter運動が爆発的な盛り上がりを見せ、認識と意見を大きく変えることになった。

「タイム100は常に世界と世界を形作る人々を映し出している」とフェルゼンタールは説明した。

「今年のリストでは、伝統的な力を行使する人々を見つけることになるだろう。国家元首、CEO、有名なエンターテイナーなどだ」

「(しかし)リストには多くの非凡だが多くの人々に知られていない個人も含まれている。彼らは命を救い、運動を立ち上げ、精神性を高め、世界を修復しようとした人たちだ。彼らの取り組みによって、我々ひとりひとりが世界に向けて行使する影響力が、より健全で回復力があり、持続可能であるように試されているのだ」