黒人女性ブリオナ・テイラーさん射殺事件、警察官は殺人罪に問われず。ニューヨークでも抗議活動

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ケンタッキー州ジェファーソン郡の大陪審は23日、警察官の銃撃によりブリオナ・テイラー(Breonna Taylor)さんが死亡した事件で、元警察官のブレット・ハンキンソン氏(44)を、発砲によってテイラーさんの隣人を不当に危険にさらした罪で起訴することを決めた。

ルイビルにあるテイラーさんの家を捜索する際、ハンキンソン氏は盲目的に10発発砲し、銃弾の一部が隣家に当たった。起訴は、この行為により隣人を危険にさらしたことに対するもの。テイラーさんを死亡させた責任は問われなかった。また、同行していたジョナサン・マティングリー巡査部長とマイルス・コスグローブ刑事は起訴されなかった。

The Hillによると、ケンタッキー州のダニエル・キャメロン司法長官は記者に対して、ハンキンソン氏の銃弾が実際にテイラーさんに命中したかを結論付ける証拠はなかったと語った。また、2人の警察官について、テイラーさんの交際相手が最初に発砲しており、ケンタッキー州の法律では、彼らの銃の使用は「正当化される」と語った。なおマティングリー氏は6発、コスグローブ氏は16発発砲している。

一方、遺族の弁護士のベン・クランプ氏は、起訴内容は「ブリオナ・テイラーさんの殺害とは何ら関係がない」と述べ、「非道で、侮辱的だ」と非難。「ハンキンソンの行為が隣人を不当に危険にさらした罪であるならば、ブリオナ・テイラーのアパートでも同じく、命を危険にさらした。これは、不当な殺人と判定されるべきだ」と語った。

ニューヨーク市で抗議デモ

ニューヨーク市内では、大陪審の決定に不満を唱える大勢の人々が集まり、抗議集会が行われた。地元メディアによると、59thストリートと5thアヴェニューでは、午後7時から集会がスタート。このほかにブルックリンのバークレーセンターにも大勢が集まる光景が報じられた。

午後9時過ぎ、マンハッタンのミッドタウンを行進するデモの集団。この後、ロウアーマンハッタンを歩き、11時過ぎにウイリアムズバーグブリッジをブルックイン方面に渡っていった。

ブリオナ・テイラー事件

3人の警察官は3月13日深夜、麻薬犯罪捜査の一環で、救急救命士だったテイラーさん(26)宅の家宅捜索に踏み込んだ。この時、中に一緒にいた交際相手のケネス・ウォーカーさんが発砲。マティングリー警官の太ももに命中した。警察官らは応戦し、合計数十発発砲した。テイラーさんはこのうちの5発の銃弾を受け、死亡した。

ニューヨークタイムズによると、捜査は、屋外で麻薬を販売した疑いのある2人の男性に関連するものだった。捜査令状の取得にあたり、警察官は、このうちの1人が麻薬の受け取りにテイラーさんのアパートを使用していると裁判所に申し出ていた。なお、遺族の弁護士は、この男性とテイラーさんは複数年付き合っていたが、最近になって関係を断ち切っていたと主張している。

警察が裁判官から得た令状は、無断立ち入りを許可するものだったが、捜索前に、身元を告げるよう指示が変更されていたという。

警察官は押し入る前に複数回ノックし、身元を告げたと主張しているが、ウォーカーさんは尋ねたにもかかわらず、答えは返ってこなかったと反論している。なお、ウォーカーさんは事件後、テイラーさんの以前の交際相手が押し入ろうとしたのではないかと恐怖を感じた、と警察に証言している。

事件後、ハンキンソン氏は免職となり、2人の警察官は一時休職となった。

テイラーさんの家族は4月、娘の死を不当に引き起こしたとして、ルイビル警察を提訴した。先週、市が1,200万ドル(12.5億円)を支払うことで家族との和解が成立したと報じられた