銀河の重さは見かけによらない。暗黒物質の比率が大きなおおぐま座の渦巻銀河

渦巻銀河「NGC 5585」

こちらは「おおぐま座」の方向、尻尾(北斗七星の「柄」の部分)の近くに位置する銀河「NGC 5585」です。中心部分は周囲よりも明るいものの、はっきりとした渦巻腕などが見当たらないので矮小銀河のような印象も受ける姿ですが、NGC 5585は渦巻銀河のひとつに分類されています。

NGC 5585は銀河円盤の直径が3万5000光年以上で、地球からの距離はおよそ2500万光年とみられています。星形成活動が活発なホットスポットの位置を指し示すように、青い星々の集まった領域が銀河円盤のかすかな渦巻腕に沿うように点在しており、漆黒の空間とは対照的に力強く輝いています。

銀河には恒星・星雲・惑星といった天体を形作っている「通常の」物質だけでなく、電磁波では観測できずに通常の物質とは重力を介してのみ相互作用する「暗黒物質(ダークマター)」も集まっているとされています。観測の結果、大きさや形が似ている他の銀河と比べたときに、NGC 5585は銀河全体の質量に対する暗黒物質の比率が大きい、別の言い方をすれば見かけの割に重い銀河であることが明らかになっています。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡に搭載されている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」によって撮影され、「今週の一枚」として2020年9月21日に公開されています。

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Tully
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏

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