4連休、神奈川県内観光地に活気 客足回復へ期待と警戒 

多くの来訪者でにぎわった連休中の小町通り(9月20日、読者提供)

 新型コロナウイルスの影響が長引く中で迎えた19~22日の4連休。国内有数の観光地・鎌倉や横浜中華街は多くの来訪客でにぎわい、久々に活気が戻った。近郊からの来訪のほか、政府の観光支援事業「Go To トラベル」の後押しもあるとみられる。コロナ禍で観光事業者の売り上げは今も落ち込んでおり、関係者は「ウイルス対策をしっかり講じ、経済を前向きに進められたら」と今週末以降も客足の回復が続くことを期待しつつ、感染再拡大への警戒も強めている。

◆鎌倉「一番の人通り」 GoToも後押し
 鎌倉大仏のある長谷エリアや鶴岡八幡宮に続く小町通りなどでは多くの観光客が行き交った。好天に恵まれた21日には、鎌倉市観光協会の手荷物預かりサービスが、昨年9月の大型連休と同水準の利用数となった。鎌倉小町商店会の今雅史会長(72)は「若い人だけでなく家族連れや高齢者の姿も多く見られた。コロナ禍で一番人通りが多かったのでは」と驚く。

 ただ商店会では、今年の売り上げが前年比で3割以上の減少を見込む店や、「開業以来初めての落ち込み」と苦しむ老舗店も少なくない。市の調査でも市内各地の事業者から売り上げが最大9割減との声が上がっており、今会長は「感染再拡大への不安は尽きず、密の発生は心配。でも、ここまで経済の落ち込みが長引くと事業者も厳しく、客足の回復も必要」と複雑な心境を打ち明ける。商店会では県の感染対策ガイドラインに沿った営業をしつつ、観光客にウイルス対策を呼び掛けるオリジナル旗の掲示なども検討し、感染予防策の強化と経済の両立を図る。

 ホテルなどの宿泊事業者も連休中のにぎわいを実感していた。鎌倉は都心からのアクセスの良さを背景に日帰り観光が多いが、若宮大路沿いに4月に開業したホテルメトロポリタン鎌倉(同市小町)は「家族連れや夫婦などの利用が多く、お盆時期と並んで開業以来最高の稼働率だった」と多くの宿泊客を迎えた。

 「Go To トラベル」事業の利用も目立っており、都内からの旅行も事業対象に含まれる10月以降の予約も徐々に増え始めているという。同ホテル担当者は「コロナの収束が見えない中で営業する難しさはあるが、お客様、市民、スタッフの安全を第一に対策を講じて迎えたい」と話す。

 市などは今春の緊急事態宣言中、観光を控えてほしいと発信していた。市と同協会は現在、観光客向けにマスク着用や少人数での行動などの「7つのお願い」を呼び掛けており、同協会の大津定博専務理事は「迎える側も訪れる側も、感染予防にしっかり注意し、まちの活気も大事にしたい」としている。

◆横浜中華街「遠方よりも近郊から」
 客足が10分の1以下に落ち込んだ時期もあった横浜中華街も連休始めの2日間で、昨年同時期と比べ、3割増しの人出に。横浜スタジアムで横浜DeNAベイスターズのデーゲームが開催された影響もあるが、横浜中華街発展会協同組合の高橋伸昌理事長は「久々に街に活気が戻った」と安堵(あんど)した様子だ。

 コロナ前と現在の違いとして、「遠方よりも近郊から。コース料理よりも、単品を頼む客が多い」と説明する。会長を務める老舗の点心店「江戸清」(横浜市中区)でも、マイカーで近隣から訪れる個人客が多かったといい、「車だとアルコールを飲まないので、売り上げは伸びないけれど、街に人が来てくれることはうれしい」と話していた。

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