J初、5G運用へ カシマで27日試行 多視点の試合映像提供

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スタジアムのスタンドで行われたマルチアングル映像体験のテスト=鹿嶋市神向寺のカシマスタジアム(©KASHIMA ANTLERS)

県立カシマサッカースタジアム(鹿嶋市)は、第5世代(5G)移動通信システムを27日のサッカーJ1第19節大分戦で初運用する。5G化により、多視点の試合映像を自由に切り替えられる「マルチアングル映像」などが端末を通して楽しめる。2017年から取り組む「スマートスタジアム構想」の一環で、Jリーグ初の試み。スタジアムを管理運営する鹿島アントラーズFCは、今後も最先端技術の実験と実装を進めていく。

■応募750組
5Gの試行は鹿島とスポンサーのNTTドコモによる共同事業。特別企画「docomo 5Gマッチ」として25組50人が体験する。募集には750組が殺到した。

参加者はドコモが提供する5G端末を使う。観客が見られない角度の映像や、見逃した場面のリプレーを端末で即視聴できるマルチアングル映像をはじめ、試合中のボール支配率やシュート本数などのデータが閲覧できる。選手のプロフィルも確認でき、既存のファンだけでなく新規のファン層も取り込む考えだ。

鹿島のマーケティンググループマネージャー、春日洋平さん(42)は「クラブの商圏に入っていない方々にも、関心を持っていただけるのではないか」と期待する。

■電子化構想
ドコモは昨年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会でも、5Gによるマルチアングル映像を実験した実績がある。

スタジアムの5G化は今春、ドコモの協力で完了。今回の企画は、鹿島とドコモによるビジネス創出を目的としている。

今後は5G化が一般に進展すると予想され、鹿島は将来的に、観客が持つ5G端末で同様の体験ができるようになっていくと見ている。

スタジアムの指定管理者である鹿島は、17年から「スマートスタジアム構想」を開始。19年までの「フェーズ1」では、高密度Wi-Fiの設置や電子チケット化を完了させた。

今年からの「フェーズ2」では、5G化のほかに生体認証技術の導入を目指す。報道陣を対象に先月、顔認証による入館を実験した。早ければ来季にも観客を対象に部分導入する。

■地元に還元
昨夏、フリーマーケットアプリ大手のメルカリが鹿島の経営権を取得したことで、構想は加速している。

小泉文明社長(39)は「スタジアムのラボ(実験室)化」との言葉でクラブの姿勢を表現する。近い将来、日常生活に取り入れられていく最新技術を真っ先にスタジアムで実験・導入し、その知見を社会に還元する意向だ。

鹿島とメルカリは2月、鹿嶋市と「地方創生事業に関する包括連携協定」を結んだ。スタジアムで得た経験を、まずは地域社会に生かしていく。

5G化で国内屈指の通信環境が整うことになり、春日さんは「カシマスタジアムは地域の中心的役割を果たしていく」と意気込んでいる。

★第5世代(5G)移動通信システム
携帯電話などに使われる通信方式の新規格。第4世代(4G)に比べて通信の速度や容量が大幅に向上する。「高速・大容量」「低遅延」「多数端末接続」の特長を持ち、4K・8Kといった超高解像度動画のストリーミング(再生)を快適に楽しめるようになる。