4連敗を止められなかった鷹 天敵ロッテとの首位攻防戦へ残った不安と課題

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

オリックスとの3連戦を2敗1分けで終えたソフトバンク

■ソフトバンク 3-3 オリックス(24日・PayPayドーム)

ソフトバンクは24日、本拠地PayPayドームで行われたオリックス戦に3-3で引き分けた。投手陣は3点に抑えたものの、元気のない打線がオリックスを攻め切れず。4連敗で迎えた第3戦を勝ち切れずに、今季ワーストの連敗を止めることはできなかった。

2回にグラシアルのソロ本塁打で先制。だが、先発の和田が4回にロドリゲスに同点ソロ、5回には若月に勝ち越しの適時二塁打を許して逆転された。その裏に中村晃の2ランで追いついたものの、その後は決め手に欠けた。

8回1死一、二塁ではグラシアル、松田宣が相次いで遊ゴロに凡退。9回1死一塁では周東の打席でバスターエンドランを仕掛けたものの、打球は二塁手の正面を突いて最悪の併殺打となった。

延長10回にも2死から柳田が四球で出塁。ただ、8回終了時点でデスパイネ、グラシアルを交代させており、打線に助っ人の名前はなし。代打の川島が三塁への内野安打で繋いだものの、最後はグラシアルに代わって守備についていた真砂が見逃し三振に終わり、引き分け決着となった。

前日まで今季ワーストタイとなる4連敗。この日はなんとしても、その連敗を止めておきたかった。というのも、25日からは敵地ZOZOマリンスタジアムで2位のロッテと直接対決が控える。昨季大きく負け越し、今季もここまで3勝8敗1分と黒星が先行している宿敵。首位攻防戦を前にして、少しでも悪い流れは払拭しておきたかったはずだ。

工藤公康監督はこの日の試合後に「得点という部分ではアレでしたけど、いいゲームはできましたし、リリーフ陣も3点で抑えてくれました。形は悪くないと思うので、今の形をキープしながら、野手の人たちが点を取ってくれるのをピッチャーは抑えて待つ、ということですね」と語る。

ソフトバンクのウラディミール・バレンティン【写真:藤浦一都】

起爆剤として長谷川らの昇格やオーダーの組み替えも一手か

確かに投手陣の奮闘は際立つ。8月のチーム防御率は2.73と抜群の安定感を誇り、9月もそれは継続している。ただ、特に9月に入り、打線が投手陣に応えられない試合が続く。チーム全体の打率こそ前月とさほど変わらないが、栗原が9月は23日現在で.164、中村晃は.247、グラシアルも.221とチームの核として得点に貢献してきた打者が下降線を描いている。

この日はその栗原を2番に据えたものの、5打席ノーヒット。1番の周東も5打席ノーヒットと結果を残せなかった。上位打線でチャンスをなかなか作れなければ、中村晃、柳田らに回っても得点には繋がらない。ライナーが正面を突いたりといった“流れの悪さ”もあった。“お得意様”だったはずのオリックスを相手に2敗1分けという結果も相まって、ロッテ戦に向けて不安が残った。

この空気を打破するようなキッカケや起爆剤となる手を打つのも1つかもしれない。手薄な代打陣を強化するために、2軍でプレーする長谷川勇也やバレンティンを上げてくるのも一手だろう。9月に入って成績が下降しているものの、2軍には開幕から3か月にわたってファーム暮らしの続く内川もいる。

思い切ったオーダーを組むことも一手だろう。最近は主に4番に柳田を据え、その前後の並びを組み替えているが、例えば、8月の半ばに噛み合っていた2番・柳田から中村晃、栗原へと繋がるオーダーにデスパイネとグラシアルを加えてみてはどうだろうか。

工藤監督は25日から始まるロッテ、楽天との戦いに向けて「今まで通り勝ち越すことを考えてやっていきたい。遠征はどこのチームにもある。日々新たな気持ちを持って戦っていくことが大事。投打のバランスを考えながら、保っていくことということが1番勝利に近づくと思っている」と語る。2位、3位との直接対決。チーム状況を浮上させる戦いに期待したい。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

© 株式会社Creative2