首位ホークスVS好相性ロッテ 元鷹コーチが読む首位攻防3連戦「澤村の加入が…」

ロッテ・井口監督(左)とソフトバンク・工藤監督【写真:荒川祐史】

昨年までホークスコーチ飯田哲也氏は「6回までの攻撃」「捕手」に注目

25日から2位・ロッテが本拠地で首位・ソフトバンクを迎え、首位攻防3連戦を戦う。現在、両チームのゲーム差は2。ソフトバンクが46勝33敗4分、ロッテが45勝36敗2分で、今季の直接対決はロッテが8勝3敗1分と大きく勝ち越している。現役時代、ヤクルトなどでプレーし、楽天、ソフトバンクでコーチを務めた野球解説者の飯田哲也氏に、この3連戦の勝負のポイントをいくつか挙げてもらった。

ロッテは8回の男・ハーマンがケガで離脱したが、唐川、澤村、益田の勝利の方程式が機能している。一方、ソフトバンクにも高橋礼、モイネロ、森と安定したリリーフ陣がいる。それだけに、両軍ともいかに中盤の6回までにリードを奪うかが、勝利につながってくると指摘する。

「ロッテは澤村の加入が大きく、唐川、益田も調子がいいので、6回までにリードすれば勝つ確率は高い。それはソフトバンクも分かっているはず。ただ、ソフトバンクのリリーフ陣にも同様のことが言える。両軍とも6回までに、いかにコツコツ点を積み重ねていくか。犠打やエンドランなどを仕掛けて動く、取れる時に取る野球をやったチームが勝ちに近づくと思います」

首位を走るソフトバンクが今季、唯一負け越しており、苦手にしているのがロッテだ。2017年までソフトバンクにいた鳥越裕介ヘッド兼内野守備コーチ、清水将海バッテリーコーチの存在は切り離すことはできないだろう。

「選手の性格も何もかも知っている鳥越コーチがベンチにいるのが大きい。清水コーチも(ソフトバンクの)甲斐に配球を教え込んだコーチだから、少なからず、甲斐が考えることは分かる。甲斐はピンチになると直球が減り、外角ばかりの配球になる傾向がある」

甲斐に限らず、バッテリーの思惑を相手に見られている中で、この3連戦でどう対処していくか、スタメンから駆け引きは始まる。

当然、鍵となるのは両チームの先発。飯田氏は「ソフトバンクは前回、(ロッテ)二木にやられているので、対策はしてくるはず」と予想する。そして、両チームの先発とバッテリーを組む捕手にも注目しているという。

「24日のオリックス戦ではベテラン高谷が先発マスクを被ったが、ソフトバンクはロッテに対して誰を起用するのか。逆にロッテは(正捕手の)田村が(ケガで)いないので、捕手勝負になるかもしれない」

現時点では、優勝争いはホークス有利とみる飯田氏。だが、ソフトバンクにも弱点はあるという。それは、勝負所の代打の不在だ。

ホークス有利と読むも死角はある、楽天もじわりと迫る

「ホークスには怖い代打がいない。バレンティンや長谷川のように1発サヨナラになる可能性のある打者が出てきたら、相手へのプレッシャーも違う」

そして、俊足打者の三振の多さも気になっているという。

「周東、牧原のような俊足の選手に三振が多い。当てれば何が起こるかわからないが、三振では何も起こらない。当然、コーチは自分の持ち味を考えてプレーするように言っているはずだが、本人が気づかないと変わっていかない。三振は相手を楽にさせるが、塁に出たら嫌がられる。まずはゴロを打たないといけない」

ホークスが勝ち越せば、ゲーム差はさらに広がるが、ロッテには今季大きく勝ち越しているという精神的なアドバンテージがある。飯田氏は「ホークスが勝つと一気にいってしまう可能性もあるが、ホークスはロッテに対して苦手意識がある」と、この3連戦を展望する。そして優勝争いは、ロッテに3連勝するなど5連勝中で、首位ソフトバンクと4.5差まで近づいてきた3位楽天も交えた三つ巴の戦いになってくると予想する。

「楽天は打線も活発だし、上位が潰し合いをしている間に、西武と対戦する楽天が来そうな気がする。楽天は浅村を中心に、ロメロ、茂木、鈴木とバッティングがいい。それぞれが自分がどういう選手なのかを分かっていて、役割をきっちりこなしている。中継ぎもいろいろケガ人が出る中で継接ぎでやっているが、則本がいない中でよく頑張っている。投手のケガ人の分をバッティングでカバーしている」

ソフトバンクがロッテに勝ち越せば一気に抜け出す可能性がある一方で、打線好調な3位楽天にもまだまだチャンスは残されている今季のパ・リーグ。上位3チームの優勝争いから、目が離せない。(Full-Count編集部)

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