マンション経営に潜むリスクとは――ポイントは物件と管理会社選び

マンション経営をはじめるうえで、一番気になるのが「リスク」。マンション経営に限らず、不動産投資には高額なお金が必要です。万が一、数百万円ものお金を出して物件を購入したのに、うまく運用できなかったら大きな損失となります。最悪の場合、せっかく購入した不動産を手放して、多額の借金を返済していくことにもなりかねません。

しかし、あらかじめマンション経営のリスクを理解し、対処法を身につければ、経営時のさまざまなリスクを回避しやすくなるはずです。この記事では、マンション経営に潜むリスクや対処法を紹介します。マンション経営に失敗しないためにも、今回紹介する内容をヒントにしながら計画を立ててみてください。

マンション経営の6大リスク

マンション経営には、主に6つのリスクが隠れています。せっかくはじめた不動産投資での思わぬ失敗を防ぐためにも、マンションの経営のリスクは把握しておかなければなりません。なお、次から紹介するマンション経営のリスクは、アパート経営にも同じことが言えます。マンションだけでなく、アパートの経営を検討している方も、チェックしてください。

入居者が決まらず家賃収入が入らない

マンション経営の最大リスクと言えるのが、空室です。マンション経営の収入源は「家賃収入」なので、もし入居者が決まらなかったら、収益は0円となります。マンション経営における空室リスクは、単純に広告を打ち出したり、リノベーションするなどして綺麗な物件に整えたりするだけでは解決できません。

そもそも、入居者を確保するためには、需要の高い物件を選んだり、適切な家賃設定をしなければならないものです。そのうえ、周辺の競合物件の影響でも入居率は左右します。マンション経営は、仮に入居者がいなくても維持費や管理費、修繕費、税金などさまざまな出費が発生します。空室が続くと資金繰りに苦労する可能性があるので、入居者が決まらない状況は早急に解決しなければなりません。

家賃を下げた結果収益率が下がる

マンション経営には、収益率の低下というリスクがあります。マンション経営における家賃は、固定ではありません。どれだけしっかりと管理していても建物は老朽化してしまうので、家賃の値下げが必要となる場合があります。老朽化を理由に家賃を下げると、必然的に収益率も下がり、収入が少なくなってしまいます。

購入時は利回りがいい物件であっても、年数が経つにつれて資産価値が低下してしまうことを頭に入れておかなければなりません。ちなみに、家賃の値下げが必要となる理由は、建物の老朽化だけではありません。景気や事故・事件、周辺環境の変化などで、家賃を値下げせざるを得ない状況に陥ることがあります。

建物が老朽化し修繕費が必要になる

マンション経営には、突発的な出費や大きな出費が発生するリスクがあります。数ある出費の中でも高いリスクとなりやすいのが、「修繕費用」です。入居者が退去した後の原状回復や、老朽化の手当てなど、さまざまなシーンで修繕費用が必要です。さらに、一棟マンションを経営するのであれば、共有部分の補修も必要でしょう。外壁や通路、階段など大規模な修繕を行わなければなりません。

一般的に、鉄筋コンクリート造のマンションはだいたい50年はもつと言われています。しかし、建物の劣化が進むにつれて、修繕費も高額になることから、10~15年を目安に修繕した方がいいとされています。つまり、10~15年ごとに大きな出費が発生するので、修繕に備えて家賃収入の一部をプールして、計画的に準備しておかなければなりません。

災害で建物に損害が及ぶ

マンション経営のリスクとして、忘れてはならないのが災害の問題です。日本は地震が多い国ですので、ある日突然所有するマンションに損害が及ぶ可能性があります。仮に、耐震性の高いマンションであったとしても、立地によっては津波や土砂崩れなどで不動産を失うリスクがあります。

地震の他にも、火事や台風、洪水などあらゆる災害リスクがあるので、マンション経営を行うときには災害対策は必須です。併せて、万が一マンションが倒壊した場合にはどうするかという点についても、あらかじめ考えておく必要があります。なお、地震保険や火災保険などの保険金で損害を補填できることもありますが、保険料は高額です。保険料の負担は大きいので、災害リスクへの備えだけではなく、収支のバランスを見極めることが大切です。

周辺環境が変化し資産価値や入居率が下がる

老朽化していないにもかかわらず、資産価値が低下したり、入居率が下がるリスクがあることを頭に入れておかなければなりません。マンションが位置する周辺環境は、時代の流れとともに変化するものです。所有するマンションの近くに、条件のいい新しいマンションが建ったり、学生をターゲットとしていたのにその学校が移転したりするなど、周辺環境が悪い方向へ変化することがあります。

もし、周辺環境が悪い方へと変化したら、資産価値が低下したり入居率が下がる原因となり、空室に悩まされる可能性があります。空室が深刻化すると、収益が途絶えるリスクが高まるので、新たな対処法を検討しなければなりません。

金利が上昇してローン返済が高額になる

マンション経営をするうえで、懸念すべきものが「金利の上昇リスク」です。マンション経営では、ローンを利用するのが一般的です。ローンを利用すると融資額に「金利」が上乗せされます。固定金利のローンであれば、契約から何年経っても当初の金利のまま返済できます。

しかし、変動金利は景気に応じて金利が変わるので、契約時よりも金利が上昇してしまうかもしれません。金利が上昇すると、月々の返済額が高額になるので、金銭的な負担が大きくなってしまいます。金利上昇によって、ローンの返済が苦しくなるリスクがあることを頭に入れておいてください。

マンション経営のリスクに対処する方法

マンション経営を行うには、リスクはつきものです。しかし、あらかじめ対処法を把握しておけば、リスクはある程度回避することができます。マンション経営における正しい対策を知っておけば、不動産投資を成功へと導くことができるはず。安定したマンション経営のためにも、ここからの内容をしっかりと覚えておいてください。

最も大切なのは物件と管理会社

マンション経営におけるリスク対処のためには、慎重な物件選びと信頼できる管理会社選びが重要です。マンション経営のための物件を選ぶ際には、収益率の高そうな不動産を選ばなければなりません。とくに、立地や築年数は最も重視しなければならないポイントです。一見、間取りや賃料の面から見て、人気の高そうな物件に見えても、立地や築年数によっては、いざ経営をはじめてみたら全く入居者が決まらないという事態に陥ってしまう可能性があります。

マンション経営のリスクを回避するためにも、慎重な物件選びは大切です。マンション経営では、管理会社への依頼が一般的ですが、どこの会社でもいいというわけではありません。一口に管理会社と言っても、対応力やコスト、信頼性が大きく異なります。管理会社とは長い付き合いになるので、必ず信頼できる会社を選んでください。管理会社を選ぶときには、はじめから1社に限定するのではなく、複数社をピックアップしてそれぞれを比較してみてください。担当者の対応やサービス内容、費用、プランなど、さまざまな部分をチェックしたうえで、信頼できる管理会社を選びましょう。

メンテナンスをこまめにして老朽化を遅らせる

マンション経営における「多額な修繕費」のリスクは、こまめなメンテナンスで対処できます。運用する物件は、一定期間ごとに大規模な修繕が必要です。老朽化が深刻であるほど、修繕の規模が大きくなるので、費用も高額化します。しかし、運用する物件をこまめにメンテナンスすれば、深刻な老朽化を遅らせることにつながり、修繕費を抑えやすくなるのです。「これくらいの劣化なら大丈夫」と放置していると、老朽化が進んでしまい建て替えの必要性が増します。小さな問題もしっかりとチェックし、建物をこまめにメンテンナンスすれば老朽化を遅らせることができるはずです。

ちなみに、こまめなメンテナンスの他にも、物件選びの段階で老朽化を遅らせるポイントがあります。それが、「新築物件を選ぶこと」です。新築物件であれば、老朽化するまでに時間がかかるので、大規模な修繕が必要となる時期がずっと先です。新築物件は中古物件よりも高額ではありますが、修繕費が安くすむことが考えられます。

多額な修繕費のリスクを考えるなら、中古物件であっても「修繕済み」の不動産を選べば対処できます。中古物件は新築物件と比べると古い建物が多いもの。しかし、すでに修繕済みの物件を選べば次回の修繕までの時間が空くので、修繕費用を抑えたり、建物を長持ちさせたりできます。ただし、いざ修繕が必要になったときに備えて、あらかじめ大規模工事の計画を立てておくことも大切です。

災害リスクには各種保険に加入して対処

マンション経営における災害リスクを対処したいなら、火災保険や地震保険に加入することをおすすめします。マンション経営のために所有する物件が、何らかの災害に巻き込まれてしまう可能性は十分に考えられます。どんな災害がおきてもいいように、各種保険に加入しておくと万が一の事態でも安心です。火災保険は、火災だけではなく水害や台風などの被害も補償対象としていることがあります。

火災保険に加入しておけば、幅広い問題をカバーしやすいので不安は減るでしょう。地震保険は、加入しておくべき保険です。日本は、いつ大きな地震が来るのか分からない国です。もしかしたら、所有している物件が地震によって使用できない状態に陥ってしまうかもしれません。地震による損害は火災保険で対応できないので、万が一に備えて地震保険に加入しておく必要があります。保険料の負担が気になる方は多いと思いますが、大きな損害を考えると加入するべきでしょう。

金利上昇リスクには適切な借り換えや繰り上げ返済で対処

マンション経営でローンを利用するときに気になるのが「金利上昇リスク」ですが、返済方法を工夫すれば対処できます。もし、金利変動型のローンを利用し金利が上昇してしまったら、固定金利のローンに借り換えるという方法があります。一般的に、固定金利のローンの方が金利は高めです。

しかし、金利が変動するローンを利用していて、固定金利のローンよりも金利が高くなりそうであれば、借り換えをおすすめします。もしくは、自己資金に余裕があれば、金利上昇リスクを回避するために繰り上げ返済を検討しましょう。繰り上げ返済をすれば、その後のローン返済そのものがなくなるので、金利上昇リスクに怯えずにすみます。ローン全体の返済額を抑えられれば、コスト削減にもつながるので、積極的な繰り上げ返済がおすすめです。

部分的な繰り上げ返済であっても、元本を減らせば、結果的に金利部分の支払いも減らせることが可能です。一括返済でなくても、計画的な繰り上げ返済ができないか考えてください。

マンション経営をする際の物件選びのポイント

信頼できる管理会社と出会えるかどうかは重要。マンション経営に好適な物件を紹介してくる可能性もある

マンション経営をはじめるうえで物件選びは重要です。選ぶ物件によって、収益性が大きく異なるので慎重に判断しなければなりません。ここからは、マンション経営における物件選びのポイントを解説します。

最優先する要素は立地

マンション経営で物件を選ぶときには、「立地」を重視してください。マンション経営のための物件を見てみると、さまざまな不動産があります。販売価格が安かったり、設備が新しかったりするなど、一見魅力的に感じる物件があるかもしれません。しかし、マンション経営で最優先すべき要素は「立地」です。

マンション経営で入居者を確保するためには、「住みやすい立地」であることが重要です。最寄り駅まで徒歩圏内である物件や、主要都市までのアクセスがいい不動産は人気が高いので、空室に悩まされにくいというメリットがあります。マンション経営に慣れていない方であれば、とくに立地を最優先に物件を選んでください。

築浅物件の方が経営しやすい

マンション経営は、築浅物件を選べば、初心者でも比較的スムーズにチャレンジできます。築浅物件と築年数が古い物件とでは、前者の方が購入費用は高いでしょう。しかし、築年数が古い物件は老朽化しているので、修繕費が高くついてしまいます。築年数の古い物件は、白アリ被害や雨漏りといった問題を抱えていることもあります。築浅の物件であれば、修繕の頻度が少なくすむうえに、ランニングコストも安く抑えられます。築浅物件なら資産価値も高いままなので、なるべく新しい物件を選んだ方が無難です。

管理会社におすすめの物件を聞いてみる

管理会社は、不動産会社が積極的に宣伝していない優良物件を管理していることもあります。そこで、マンション経営の物件選びの際に、管理会社に問い合わせてみることをおすすめします。信頼できる管理会社に、「いい物件を知らないか」と聞いてみることで、マンション経営に適した物件を紹介してもらえるかもしれません。自分で不動産を探すことに不安がある方や、なかなかいい物件が見つからないときには、管理会社に相談してみてください。

信頼できる管理会社の選び方

マンション経営では、信頼できる管理会社を選ばなければなりません。大切な資産を管理してもらうことになるので、「安ければいい」という感覚で選ぶと、トラブルがおきたり、収益に悪影響を及ぼしたりする可能性があります。ここからは、信頼できる管理会社の選び方を紹介します。不動産会社選びでも使えるポイントでもあるので、確認してみてください。

物件などを積極的に提案してくれる

マンション経営をはじめるにあたり、管理会社を選ぶときには、営業の提案力をチェックしてみてください。さまざまなことを積極的に提案してくれるようであれば、安心して管理を任せられる会社です。

逆に、「聞いたことしか答えてくれない」「言われたことしかやらない」などの姿勢が見える場合は、提案力が低いと判断できます。管理会社による提案力は、マンション経営の成功にかかわることなので、積極的に提案してくれるところを選ばなければなりません。

修繕プランが立てられる

管理会社選びで迷ったら、「修繕」に関する質問をしてみると、いい会社か否かが分かります。物件を長持ちさせるためには、適切な修繕プランが欠かせません。とはいえ不動産投資に慣れていない投資家が自分でプランを立てるのは難しいものです。

豊かなノウハウをもつ管理会社であれば、適切な修繕プランを知っているので、安心して物件の管理を任せられます。「なるべく安く抑えられる修繕」「老朽化を遅らせて長持ちさせる修繕」など、具体的なプランをさまざまな管理会社に聞いて、比較してみてください。

倒産リスクは経営状態が安定している会社を選んで対応

マンション経営をはじめるにあたり管理会社を選ぶときには、その会社の「経営状態」をチェックすることをおすすめします。管理会社に限らず、多くの会社は倒産してしまうリスクを抱えているものです。もし、物件の管理をお願いしている会社が突然倒産したら、入居者への対応やメンテナンス、宣伝などの対応が止まってしまいます。物件の管理が止まると、マンション経営での収益にも影響するので、深刻な問題に陥ってしまうでしょう。管理会社を選ぶときには、経営状態にも着目すると安心です。

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