宇宙ステーションで「宇宙ゴミ」回避作戦…衛星の残骸が高速襲来

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9月22日、ISS(国際宇宙ステーション)は、貨物部分の小型エンジンを稼働させて、スペースデブリ(宇宙ゴミ)から緊急避難をおこなった。

超高速で宇宙空間を飛んでいるスペースデブリが接近する1時間前から軌道を変更したところ、物体はISSから1.39キロ離れたところを通過。その間、3名の宇宙飛行士はロシア・ソユーズの居住モジュールへ一時避難していたという。

NASAはこの物体の正体について公表しなかったが、その後の報道で、日本が2018年に打ち上げたH-2Aロケットが人工衛星を放出した際に分離した断片だと明らかになった。

実はこうした出来事はそれほど珍しいことではない。NASAのジム・ブライデンスタイン長官は同日、「この2週間で3度目のことで、スペースデブリは年々ひどくなっている」とツイートしている。

人類初の人工衛星「スプートニク1号」がソ連によって打ち上げられたのは1957年のこと。それから60年以上たち、宇宙空間には大量のゴミが漂うようになった。

すでに100万以上の破片が飛び交い、多くがISSのある低軌道に集中しているという。そのうちの半分ほどは小石サイズだが、時速数千~数万キロの超高速なので、衝突したら大惨事となってしまうのだ。

地球の周りを月のように回っている「ミニ・ムーン」と呼ばれる物体も確認されているが、これも小惑星ではなくデブリではないかと言われている。1966年、月面着陸に失敗し、現在位置がわかっていないサーベイヤー2号の可能性があるという。

2019年には、インドが衛星破壊実験をおこなったが、これにより膨大なゴミが発生した。そのうち60個は10センチ以上のもので、常に追跡がおこなわれている。ミサイルによる人工衛星の破壊実験は、インド以外にもアメリカ、ロシア、中国が成功させている。

NASAは9月22日、空軍の宇宙担当と組んでスペースデブリ対策に乗り出した。 これにあわせ、空軍の第18宇宙管制隊はスペースデブリ情報を一般公開することにした。現在、およそ2万5000個の物体を追っており、そのうち3200個は衛星だという。毎日、各軌道の衛星に平均で10~15の警告を発しているそうだ。

民間でもスペースデブリ対策が進められている。イギリスの企業は銛のようなものを撃ちデブリを回収する実験に成功、日本からもスカパーがレーザーを使う手法を開発中だ。

宇宙は今後ますます商業化が進む。スペースデブリによる事故を防ぐ取り組みが、本格化していくはずだ。 (取材・文/白戸京子)