ニュルブルクリンク24時間:3人のアウディドライバーは超多忙。GTWCと“掛け持ち参戦”

 9月24日から、ドイツのニュルブルクリンクで開催されている第48回ニュルブルクリンク24時間レース。最高峰のSP9クラスはドイツメーカーによる熾烈な争いが展開されており、世界的に注目を浴びるレースだが、参戦しているアウディの3人のワークスドライバーが、この週末非常に多忙な週末を送っている。

 ニュルブルクリンク24時間は、ポルシェ、アウディ、BMW、メルセデスAMGなどドイツメーカーを中心に、メーカーが強力にバックアップするチームが毎年SP9クラスの覇を競っており、メーカーワークスドライバーたちの争いがレースの最大の見どころとなっている。

 そんなニュル24時間に向け、アウディ勢はアウディスポーツ・チーム・フェニックス、アウディスポーツ・チーム・カーコレクション、アウディスポーツ・チーム・ランドなど複数のワークス格のチームをエントリーさせているが、フェニックスの1号車に乗り込むドリス・ファントール、カーコレクションのクリストファー・ハーゼ、チーム・ランドのケルビン・ファン・デル・リンデの3人は、同週末にオランダのザントフールトで開催されているGTワールドチャレンジ・ヨーロッパのスプリントカップにもエントリーしているのだ。

 ニュルブルクリンクとザントフールトは、同じヨーロッパとはいえ国も違う。いったいどのようにして両レースへの参戦を可能にしているのか……? アウディスポーツの広報に聞いた。

 まず3人は、9月24日に行われたニュルブルクリンク24時間のナイトセッションまでニュルでドライブをこなし、その後アウディが用意した2台の市販車のRS6に分乗。ニュルから約380km離れたザントフールトまで向かったという。道中で、前もって用意された新型コロナウイルスのチェックを受け、陰性を確認した後にホテルにチェックイン。9月25日からGTワールドチャレンジ・ヨーロッパに参加している。

 ザントフールトでのレースは、9月25日に予選が行われ、富田竜一郎と組むファン・デル・リンデはクオリファイ1、2とも3番手につけているが、このGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・スプリントカップは9月26日にレース1、2とも開催される。

 アウディの3人のドライバーたちは9月25日にニュルブルクリンクで開催されるスーパーポールや、9月26日15時30分のスタートには間に合わないが、ザントフールトでのレースが14時45分に終了した後、ヘリコプターでふたたびニュルへ。ヘリ内で再度新型コロナウイルスのチェックを行い、ニュル24時間の決勝レースを戦うという。

 新型コロナウイルスの影響でカレンダーがタイトになったからこそ生まれた“掛け持ち参戦”と言えるが、それを可能にする欧州ワークスの力も驚くべきものだろう。

GTワールドチャレンジ・ヨーロッパのザントフールト戦に参戦している富田竜一郎/ケルビン・ファン・デル・リンデ組アウディ

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