「対馬藩主宗家墓所」文化財き損届提出 台風被害で市教委

倒木のため板石がめくれ、石灯籠が倒れた百雁木の石段=対馬市厳原町西里、万松院境内

 今月上旬に長崎県近くを通過した台風9号、10号の影響で石灯籠が倒壊するなどした対馬市厳原町にある国指定史跡「対馬藩主宗(そう)家墓所」について、同市教委文化財課は25日までに、文化庁に国指定文化財き損届を提出した。
 墓所は1615年、宗家19代で初代藩主となった宗義智(よしとし)の霊を弔おうと、子で2代藩主の義成(よしなり)が宗家居館「金石屋形(かねいしやかた)」の西側山麓に松音寺(しょうおんじ)を建立し設けた。松音寺はその後、寺号を万松院(ばんしょういん)と改め、宗家の菩提(ぼだい)寺として歴代藩主や正室らの墓を祭っている。1985年に国史跡に指定された。
 き損箇所は、宗義成墓や歴代藩主の墓所に続く132段の石段「百雁木(ひゃくがんぎ)」の一部など計15件。義成墓は倒木のため墓石まわりの玉垣が一部破損し、百雁木は板石がめくれ石灯籠が倒壊するなどしている。
 同課は「多くの観光客が訪れる場所でもあり、できる限り早く復旧したい」としている。万松院は、百雁木の一部をカラーコーンで囲った上で、通常時通り拝観を受け付けている。

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