ホンダF1田辺TD初日会見:3基目のPU投入も、パフォーマンスと耐久性のバランスを考慮「過去のような使い方は難しい」

 2020年F1第10戦ロシアGP初日のホンダ勢は、最高位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が7番手、あとの3人はトップ10圏外と、少なくともショートランに関してはやや苦戦。ホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターも、「マシンバランスがまだ決まってない」と分析する。一方で懸念されたパワーユニット(PU)のトラブルに関しては、4台ともに問題なく走行でき、「トラブル対策が作動していることが、確認できた」と言っていた。

 ホンダは初日フリー走行に向けて、アルボンを除く3台に3基目のパワーユニットを投入。その意味についても、田辺TDに語ってもらった。

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──今年初めての、ヨーロッパを出たフライアウェイのレースです。どのような初日でしたか?

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):クリアラップが取れないとか、クルマのバランスが悪くて飛び出したりとか、まだいろいろよろしくない部分はあるのですが、車体もパワーユニット(PU)も大きなトラブルはなく、特にフリー走行2回目(FP2)ではデータ収集に十分な周回をこなせました。

──前回のトラブルに対処して初日セッションに臨んだとのことですが、対策の確認はできたということでしょうか。

田辺TD:はい。想定通りの動作をしていることが確認できました。

──ムジェロで起きたことについて、一応トラブルという言葉を使っているのですが、PUは今後のローテーションにも入っている。ということは、何かがハード面で壊れたわけではないのですね。

田辺TD:はい。起きたこと自体は、非常に深刻な、重大なことですが。

2020年F1第10戦ロシアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

──アレクサンダー・アルボン以外の3台は3基目を入れましたが、最終戦まではこの3基を使い回していく。ペナルティ覚悟で4基目を入れることは、考えていないですか?

田辺TD:考えていません。

──アルボンに4基目を入れなかった理由は?

田辺TD:やりくりを考えた上での決定です。

──ここで新PUを入れた理由は、ソチがパワーサーキットだからというのも大きいのですか?

田辺TD:当初はそういうことも考えたのですが、エンジン単一モードが導入されたことで、ちょっと待てよ、と。従来の予選モード、レースモードを使い分ける時期だったら、新しい、元気のいいパワーユニットで攻めようということもありました。

 しかし予選とレースとで同じモードで使い続ける場合、飛び抜けたことはできない状況になっている。ですので今後、後半戦に向けて3基のパワーユニットをどう使い回していくか。それを考えての、今回の投入です。

──簡単に言えば、フレッシュエンジンの“オイシイ”部分が、あまり意味がない?

田辺TD:そうですね。まったく意味がないわけではないですが、ハイパワーモードでずっと使い続けるわけにはいかない。どこかで抜く、ということはできないですから。極端に言えば、たとえば最後尾を走る状況に陥って、じゃあエンジンを楽させようと思っても、そういうモードにしてしまっていたら、それもできなくなります。(最終戦までを見通して)均等に考えていかないといけない。パフォーマンスと耐久性のバランスを考えて、過去のような使い方は難しいということですね。

──ではアルボンの3基目投入は「後日」とのことですが、この週末はなさそう?

田辺TD:なさそうですね。もちろん明日突然問題が出て、3基目投入という可能性もないわけではありません。とはいえこの週末は、なさそうです。

2020年F1第10戦ロシアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第10戦ロシアGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第10戦ロシアGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2020年F1第10戦ロシアGP ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)

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