床タイル2種類の素材のメリット&デメリット
洗練されたイメージがあるタイルの床。デザインのバリエーションも豊富です。タイルには大きく分けて2種類の素材があります。ひとつは「ビニル床タイル」や「フロアタイル」といわれる素材で、タイルの素材感をリアルに再現したもの。もうひとつが、いわゆる一般的なタイルのイメージであるセラミック製のもの。ここでは床をタイルにリノベーションする際に知っておきたいふたつの素材と、メリット・デメリットについて紹介します。
塩ビタイル
塩ビタイルとは、塩化ビニルでできたタイル状の床材です。リアルなタイルを再現したような素材感や、フローリング風、大理石調など、柄やバリエーションが豊富です。表面が光沢のあるものから、セラミック素材の凸凹を再現したものまで、デザイン性が高いのが特徴。本物のタイルは硬く冬場に底冷えするという難点がありますが、このデメリットをカバーできるのが魅力。「タイルのような」見た目にしたいという人におすすめの素材です。
メリット① DIYでも施工可能な手軽さ
塩ビタイルは既存のフローリングの上から専用の接着剤で張り付けるだけなので、DIYでも施工可能という手軽さが魅力。裏にシールが付いていて接着剤が不要なタイプもあります。中には接着剤なしで敷く事が出来るフロアタイルも。
賃貸物件は基本的に床のリフォームができませんが、床にダメージを与えずに敷くことも可能です。木材でできたフローリングよりも、リーズナブルな価格のものが多く、手軽に導入できます。
メリット② 高いメンテナンス性
天然の素材でできたフローリングは水や油に弱く、汚れを放置するとシミになってしまいますが、フロアタイルは耐水性があるので掃除がしやすいのがメリット。重い家具を置いても跡が付きにくいのも魅力です。フローリングのようにワックスがけも必要なく、メンテナンスの手間もかかりません。
デメリット① 熱に弱い
塩化ビニル素材は熱に弱いのが弱点。床暖房が設置されている床には向きません。ホットカーペットやこたつなどの使用も避けた方が無難です。
デメリット② 傷に弱く、劣化が早い
素材自体の耐水性は高いものの、タイルの継ぎ目の部分に水が入り込む場合があります。耐用年数を経過し、変色や劣化した時は張り替え作業が発生します。ただしタイル状のものを組み合わせる形なので、汚れた部分1枚だけを変えることが可能。大掛かりな工事は必要ありません。
セラミックタイル
セラミックタイルとは、陶器でできた硬い床材のこと。素焼きのテラコッタタイルやガラスをコーティングしたもので、モダンな大理石、最近では白やパステルカラーに塗装した明るいカラーも登場しています。模様を施したものもあり、さまざまなデザインから選ぶべるため、インテリアのイメージに合わせて自由に演出できる素材です。
メリット① 高級感のあるデザイン
セラミックタイルの魅力は、素材そのものが持つおしゃれさや高級感。ホテルやブティックさながらのイメージです。リビング・ダイニングのインテリアにこだわりがある家でも、その雰囲気を損なうことなく、統一感のある空間を作ることができます。
メリット② 簡単なメンテナンス
セラミックタイルは、フローリングのように定期的にワックスをかける必要がないので、メンテナンスの手間がかかりません。木材やカーペットと比べると耐水性もあるので、汚れが吸着しにくく落としやすいのもメリットです。
キッチンなどの油や水はねの汚れもさっと拭くだけで落とせます。硬い素材なので傷がつきにくいのも嬉しいポイント。リフォーム後のメンテナンスには手間も費用もかかりませんが、張り替えに慣れた業者を探す必要があります。
デメリット① 施工費用が高額
セラミックタイルは、一般的に流通しているフローリングや、塩ビタイルと比べると施工費用が高額です。既存のフローリングを撤去してタイルを敷く作業で、建材そのものの単価も高額なためです。セラミックタイルは衝撃によってひび割れたり欠けたりすると、種類によっては張り替えが必要になり、修理費用も高額になります。
デメリット② 足腰への負担と冬場の冷え
セラミック製なので、夏はひんやりと快適ですが、秋冬は底冷えします。寒い季節は厚めのスリッパやカーペットが必須で、間取りによってはストーブなどの暖房器具を設置したり、床暖房の導入もおすすめです。クッション性がないセラミックタイルの硬さは、長時間の作業で足腰の負担になります。キッチンなどの立ち仕事が多い場所では注意が必要です。
【場所別】床にタイルを取り入れるポイント
色や柄、風合いなどさまざまな種類のあるタイルですが、設置する場所によって使い分けるとより快適に過ごすことができます。リビング、キッチン、洗面所、トイレ、浴室、玄関、それぞれに適したタイルの選び方について紹介します。
リビングのタイル
フローリングやカーペットをイメージしがちのリビングですが、最近ではタイルを採用する家庭も増えています。直接床に座らずに椅子を取り入れれば、メリットも大きくペットを飼っている人にもおすすめです。
窓際でも色褪せの心配不要。インテリアに馴染むデザインを
同じタイルでも、色や質感によって大きく雰囲気が異なります。ホワイトやナチュラル系の色の床は、部屋全体が明るく広々と開放感のある雰囲気に。濃い色の床を選べば、大人っぽく落ち着いた重厚感ある空間になります。日光を浴びても劣化や色あせの心配がないタイルは、日当たりのいいリビングでも安心して使用できるのが魅力。さまざまなデザインの中からインテリアに馴染むものをセレクトしてください。
夏は冷たく快適、冬場は足元の寒さ対策を
硬くてひんやりとした質感なので、夏は素足で歩くと快適なのがタイルの特徴です。逆に冬場は底冷えするのでスリッパを履いたり厚めのカーペットを敷いたりして対策を。床暖房があると快適ですが、対応していない素材もあるので、導入する前にチェックしましょう。
キッチン、洗面所のタイル
洗面所は水と切り離せない場所、キッチンは水に加えて油などでも汚れやすい環境。キッチンや洗面所の床にタイルを導入する際は、そんな環境でも快適に過ごせることが条件です。
水はねや汚れに強い
タイルはフローリングに比べて汚れが付きにくく、掃除しやすいのがメリット。耐水性にも優れているので、水を扱うキッチンや洗面所に適した素材です。キッチンの床はリビングやダイニングの雰囲気とも馴染むデザインを選びましょう。目地は汚れやすい箇所なので、こまめな掃除は必須です。
滑りやすいタイルもある
キッチンは長時間の立ち作業になる場所であり、調理や配膳、洗い物などで動き回る場所です。表面に水がついたまま歩くと、滑りやすいタイルでは転倒の危険があるので要注意です。安全面に加えてタイルの汚れ防止や硬さを軽減するために、キッチンマットを併用すると安心です。
トイレのタイル
トイレの床材選びのポイントになるのは、「清潔さを保てる素材」であること。お手入れにできるだけ手間がかからないタイプを選びましょう。
水や洗剤に強く、お手入れしやすいタイルを
こまめな掃除が必要なトイレの床には、汚れを落としやすいタイルを選びましょう。吸水性が低い磁器タイルがおすすめです。吸水性が高いと水や汚れがしみこんでしまい、臭いの原因になります。吸水性の高い素焼きのテラコッタタイルやレンガはトイレの床には向きません。洗剤で洗える素材かどうかもチェックしましょう。最近では消臭効果や抗菌効果のある素材も出ているので、トイレにおすすめです。
目地の黒ずみ対策を
タイルの掃除で特に気になるのが「目地」の汚れ。トイレの床のタイルに付いた黒ずみは落ちにくいため、こまめな掃除が必須です。アルカリ性の洗剤では取れづらいので、しつこい汚れには酸性洗剤を使用しましょう。タイルは丈夫な素材ですが、液体クレンザーや研磨剤入りのブラシで強くこすると傷がつく恐れがあります。浴室のタイルに黒カビがある場合は、塩素系漂白剤を使うのがおすすめです。
浴室のタイル
浴室の床タイルを選ぶ際には、「滑りにくさ」を優先しましょう。床タイルと壁タイルは同じ色、あるいは同系色でまとめると統一感が出ます。最近では、湿気を取り除く機能やカビやダニの発生を抑えるなど、高機能な素材も登場しています。
寒い冬でも冷たくない「サーモタイル」
冬場の浴室のタイルに足を踏み入れた時、ひんやりするのは不快です。そんな冬場のひんやりした感覚を軽減するためには、サーモタイルがおすすめです。浴室以外にも、洗面所やトイレなどでスリッパがうまく使えない子どもがいる場合でも快適に使えます。
「滑りにくさ」と「肌ざわり」で選ぶ
衣服を着ていない状態の浴室で、硬いタイルの上で転倒すると非常に危険です。特に高齢者や子どもがいる家庭では注意が必要です。浴室の床のタイルを選ぶ際は滑りにくさを優先しましょう。素足で触れたときの肌触りにもこだわりたいところです。選んだタイルが浴室での使用に向いているかをしっかり確認し、慎重に選びましょう。
吸水性の低いタイルを
浴室は水に濡れる場所なので、吸水性の低いタイルを選ぶのがおすすめです。タイルの隙間に入り込んだ水が夜間に凍結し、タイルが破損することがあります。この現象を凍害といいます。寒い地域では、凍害対策が施されたタイルを選びましょう。
玄関のタイル
タイルは玄関やホールによく使われますが、土足で使う部分なのでタイルを選ぶ際には、掃除のしやすさを考慮したいところです。玄関のタイルでは、玄関の外側と内側で選ぶべきタイルが異なります。
外床は水はけの良さと汚れの目立ちにくさを重視して選ぶ
外床タイルを選ぶポイントは、雨天時でも滑りにくいような凹凸がある素材であること、水はけの良い素材であることです。白など薄い色は汚れが目立ちやすいので、濃い目の色を選ぶと掃除が楽になります。外壁の色とのバランスも考えて選びましょう。
内床は家全体のイメージも考慮
内床タイルは、家の第一印象を決めるポイントとなる部分です。外床とかけ離れたイメージにならず、家の中のインテリアともマッチするよう考慮しましょう。外床ほど滑りにくさを重視る必要はありませんが、子どもや高齢者など、雨の日に心配な場合は滑りにくい素材を選び、足ふきマットを設置する対策もプラスしてください。
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