雛人形をしまうのは収納ケース?段ボール?適切な保管場所、コンパクトな収納アイデア、片付ける時の注意点まで解説

一年に一度だけ飾る、雛人形や五月人形。マンションなどの住宅状況に合わせたコンパクトなタイプもありますが、大がかりなものも多く、収納場所に困りがちです。繊細なつくりの雛人形は、長期間保管している間に劣化や変色がないよう、正しい方法で保管することが大切です。雛人形に適した保管場所や収納のポイント、おすすめの収納アイテムを紹介します。

雛人形の保管に適した収納場所は?

保管期間が長い雛人形。スペースが限られているマンションでは収納場所に困りがちです。雛人形の収納方法に厳密な決まりはありませんが、重要なことは雛人形をきれいな状態でキープするということ。雛人形は、石膏の頭部、絹やシルクの衣裳、木製や金具のお道具と、多様な素材が組み合わさった繊細なものです。劣化や変色を防ぎながら保管できる場所を解説します。

湿気を避けるために、高い場所へ収納

結露やカビを発生させる湿気が多い場所は厳禁です。キッチンなどの水回りや、湿気たまりやすい場所を避け、カビが生えないようにしましょう。湿気は下に溜まるので、高い位置に収納するのがポイントです。

風通しがいいことも重要。空気が循環する場所は、湿気が溜まりにくくカビが増えにくいので理想的です。とはいえ、乾燥しすぎも良くありません。エアコンやヒーターの風を直接受ける場所は避けましょう。適度に湿気が少なく、風通しが良い、高い位置に保管してください。

変色・劣化を避けるために、直射日光の当たらない場所に収納

雛人形の髪や衣装には絹が使われており、日光が当たると衣装が傷み、変色してしまいます。日当たりのいいリビングや窓際、ベランダの近くへ置くのは避けましょう。これは飾る時でも同様です。箱に入った状態でも飾る時でも、日光の当たらない場所が適しています。

寒暖差が激しい場所も保管場所には不向きです。寒暖差が大きいと、木材でできている部分がゆがんだり、顔や身体の部分の塗装が剥がれてしまいます。変色や劣化を防ぐために、保存場所は直射日光が当たらず寒暖差の少ない日陰がおすすめです。

雛人形のベストな収納スペースは、クローゼットなら「上段」、押入れなら「天袋」

同じクローゼットや押し入れでも、上部と下部とでは湿気の溜まり方が異なります。クローゼット上段や天袋は比較的湿気が少なく、適度に乾燥している空間なので、湿度に敏感なものを保管しておくのに適しています。

狭いクローゼットより、広めの納戸や物置、ウォークインクローゼットの方が収納には便利ですが、窓際や外壁に面している場所は寒暖差が大きいので注意が必要です。壁が結露しないかどうか確認しましょう。納戸や物置に保管する場合も、床置きするとほこりがたまったり、湿気でカビが生えてしまいます。高めの場所に収納しましょう。

トランクルームがあるマンションの物件もあります。家の中に保管に適した場所がない場合には活用したいところです。24時間空調の管理がされているトランクルームは、自宅のクローゼットよりも快適な環境です。

雛人形を片付ける際のポイント・注意点

次は実際に雛人形を片付ける際のポイントを解説します。きれいな状態で保管しておくためには、注意すべき点があります。顔や身体にひび割れや剥がれができないように保護する方法、カビや結露、ダニなどの害虫を防ぐ方法を紹介します。

天気が良く、乾燥した日に片付ける

雨の日に収納すると一緒に湿気を取り込み、カビの原因となってしまいます。雛人形を収納するのは、晴れて乾燥した日を選びましょう。収納をはじめる前に、全体のほこりを払います。細かい部分は綿棒を使いましょう。ほこりは長期間保管する間の汚れやシミの原因となるため、こうしたひと手間が大切です。

布手袋を着用して作業する

手の皮脂は雛人形のシミ汚れのもと。作業前には手洗いをすると同時に布製の手袋を着用し、直接人形には触れないこと

片付けの前に、必ず手を洗って清潔な状態にしましょう。それでも手指の皮脂は取り切れないので、作業をする際は手袋を着用します。皮脂は雛人形に付着するとシミの原因になるので、直接触らないようにしてください。購入時に付属していた手袋があればベストですが、なければ布製の手袋を用意しましょう。飾り付けの際も手袋は必須です。

付属品は全て取り外す

雛人形は細部まで繊細に作られています。複数の人形を一緒に包んだり、飾りを付けたまま収納すると傷の原因になります。まずは付属品をすべて取り外すところから始めましょう。人形は一体ずつ丁寧に包んで保管します。強く包むと型崩れするので、やさしくふんわりと包むのがコツです。着物はシワになりやすいので、優しく扱いましょう。

お顔を和紙などの薄紙で包み、キッチンペーパーで覆う

雛人形のお顔は最もデリケートな部分。やわらかな素材のガーゼや薄紙でくるみ、上から和紙などで覆うように保護

雛人形の収納でもっとも気を遣うのが、デリケートなお顔。シミや傷、汚れや湿気から守るために、柔らかい布や紙で包みます。直接触れる素材なので、柔らかい素材を選びましょう。ティッシュペパーや和紙などの薄紙、ガーゼなど柔らかい素材を使って、顔を保護するように包みます。

顔に色移りしないよう、必ず白いものを使ってください。包むだけでは外れてしまうことがあるので、テープで止めて固定しましょう。顔だけでなく、手足も顔と同様に繊細な部分なので、忘れずにきちんと保護してください。

《便利》雛人形の顔専用のカバー

便利な雛人形の顔専用カバーも販売されています。顔にすっぽりと被せるだけで簡単に顔を覆うことできるタイプなので、作業が簡単です。人形を包むカバーやケースとセットになっているものもあります。

人形専用の防虫剤を使用する

収納の準備が整ったら、仕上げに防虫剤を入れます。衣装の虫食いを防ぐために、忘れずに使用しましょう。雛人形の衣装に使われている素材に悪影響のないよう、人形専用の防虫剤を選ぶのがポイント。人形に直接触れないように、防虫剤と人形との間に紙をはさみ、防虫剤も和紙などで覆ってからそっと紙の上に置いてください。防虫剤は、入れすぎても逆効果です。適量を守って入れましょう。

適度に隙間を開ける

雛人形一つひとつを丁寧に包んだからといって、ぎゅうぎゅうに詰め込むのは厳禁です。人形を収納する際は、必ずスペースに余裕をもたせることが鉄則。隙間なく詰め込んだまま長期間保管すると、型崩れやカビの原因になります。通気性が保てるように、適度に隙間をあけて収納しましょう。

雛人形のすっきり収納方法とおすすめのアイテム

理想的な収納方法に近づけたいと思いつつも、多くの住宅では収納スペースには限りがあります。「収納場所が少ないのでコンパクトに収納したい」「出し入れをスムーズにしたい」などの悩みを解決する収納方法やアイテムを紹介します。

収納ケースの中に、小分けして収納する

(右)PP衣装ケース引出式・大 (MUJI 無印良品ネットストアより)

プラスチックの収納ケースは雛人形の収納にも便利です。大容量からコンパクトサイズまで大小さまざま、収納場所に合ったサイズのものが見つかりやすいのがメリットです。無印良品のポリプロピレン衣装ケースやニトリのプラスチックケースなどが人気です。

人形を一体ずつ個別に包み、小分けにして収納します。引き出しタイプの衣装ケースであれば出し入れしやすく、人形本体も細かい道具類も一緒に収納できるのでスペースの節約になります。道具と人形を分けて収納すると、よりコンパクトになります。プラスチックケースは透明なので、中の状態を確認しやすいメリットもあります。

雛人形を購入した際に付いてきた箱が、家の収納に適していない場合は、小分けにして適度なサイズの箱に入れ替えて収納しましょう。無理に付属の箱を使い続ける必要はありません。

「桐」素材の箱は通気性が良く、雛人形の収納に最適

桐素材の箱は、通気性が高いので雛人形を収納するには特におすすめ。防虫効果のある成分も含まれています。三段式の箱はアイテムごとに分けて収納でき、キャスター付きの箱は場所移動の際に便利です。デメリットは、高額であること。大きさや形状、メーカーによって値段が異なるので、予算に合わせて選びましょう。

100均のふた付きボックスもおすすめ

100円ショップでも雛人形の収納に適した箱が販売されています。ふた付きボックスはほこりを防ぐことができ、スタッキングもできて省スペースになります。雛人形のサイズに合わせて選ぶことが重要なので、セリアやダイソー、キャンドゥなど、いくつかの100均に足を運んでみましょう。メリットは100円というリーズナブルな価格。引っ越しや収納場所の変更など、必要に応じて気軽に買い替えられる安心感が魅力的です。

隙間に詰め紙を入れる

雛人形収納の際の「隙間」をそのままにしておくと、動かすたびに人形が動いて傷の原因になるため、隙間には紙を詰めておきましょう。紙を丸めてクッション代わりにしておくと安心です。印字された紙はインクがつく恐れがあるので必ず白い紙を使うのが鉄則です。

小物類はチャック付き収納袋に入れてラベリング

雛人形の小道具類は細かく数も多いため、紛失に要注意。ジップ袋に小分けしてラベリングすると、飾る時も迷わずスムーズに

お道具類は一つひとつが小さいため、紛失の危険があり、出すときも見つけるのにひと苦労。チャック付きの保存袋に入れてまとめておくのがおすすめです。IKEAや100均にはさまざまなサイズの保存袋が販売されているので、お道具の大きさに合わせて選びましょう。

ボックスよりもかさばらず、コンパクトにまとまるのがメリットです。収納袋に入れる前に、道具類も一つひとつ紙や布で包みます。中身がわかるようラベリングしておくと、飾る時にも便利です。

収納のしやすさやスペースを重視するには?

箱の収納場所がない場合、袋に入れてしまっておく方法もあります。人形や道具類はひとつひとつ紙や布で包み、そのうえで不織布の袋に入れます。小さめの袋に小分けにすれば、狭い隙間にも入れることができ、デッドスペースの活用になります。最近ではガラスケースに入ったコンパクトな雛人形も販売されており、収納するのも飾るのも手軽で簡単です。

収納後も定期的に換気や点検を

完璧な状態で収納しても、1年間そのまま放置して空気の循環が悪いと、カビや虫が繁殖しやすくなります。収納後も定期的に換気を行い、陰干しすることで、雛人形を良い状態に保つことができます。収納場所の換気も定期的に行ってください。定期的に引き出しやふたを開けて外に出し、風通しを良くしましょう。秋口に陰干しをしながら簡単に点検するのがベストです。

今回紹介した以外にも収納方法はたくさんあります。収納のポイントに注意しながらライフスタイルに合った収納方法を見つけてください。雛人形は繊細な工芸品です。注意して収納しても、万が一カビが生えてしまったら、自身で処理を試みないほうが賢明です。購入した店舗や人形の修理を扱っている専門店に修繕を依頼しましょう。

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