第三のビール 来月値上げで酒店にぎわう

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酒税引き上げを伝える酒店の売り場で、第三のビールをまとめ買いする男性=26日、熊本市北区

 酒税見直しに伴い、10月1日に税額が上がる「第三のビール」への駆け込み需要が、熊本県内でもじわりと高まっている。酒類の専門店や量販店では月末を前に、売り上げが前年を上回って推移。新型コロナウイルスの影響で「宅飲み」が増えた消費者らで、週末の売り場はにぎわいを見せている。

 熊本市北区のアカツキ酒店の麻生田本店は、第三のビールの酒税引き上げを伝えるポップを売り場の至る所に掲げる。今週に入ってケースでのまとめ買いが目立ち始め、県内5店舗の売上額は、消費税増税を控えて好調だった昨年の同じ時期を1割程度上回るという。

 近くの会社員、中山貴博さん(45)は「月末になると欠品するかもしれないので、少しでも安いうちに買っておきたい」と、350ミリリットルの24缶入りを3箱購入。2箱買った「晩酌好き」の主婦(72)は「年金暮らしに値上げはきつい。9月中にもっと買い込んでおこうかな」と苦笑した。

 アカツキ酒店の郡司佳明取締役(49)は「昨年10月の消費税増税時と比べ、今回は値上げ幅が1割程度と大きく消費者への影響は大きい。月末にかけてさらに売れ行きが伸びそうだ」と予想する。

 県内でスーパーを展開するロッキー(益城町)も、この1週間の売れ行きが前年比で1割増。中でも350ミリリットルの24缶入りは3割増えているという。「駆け込み需要を見越して在庫を多めに用意している」と担当者。

 酒税見直しでは、税率が異なるビール、発泡酒、第三のビールの税額を段階的に改定し、2026年10月に350ミリリットル缶1本あたり54・25円に統一する。第1段として、今年10月から第三のビールを28円から37・8円に引き上げ、ビールを77円から70円に下げる。発泡酒は46・99円のまま変わらない。

 大手メーカー各社は第三のビールの増産を進めており、サントリーの広報担当者は「九州熊本工場(嘉島町)も駆け込み需要に備えた生産体制を敷いた」という。

 地ビールの生産者からは、ビールの税率引き下げに対して期待する声が上がる。熊本クラフトビール(熊本市)は「ビールの消費が今後増える可能性もあり、業界としては非常にありがたい」と語った。(田上一平、中原功一朗)

 ◇第三のビール ビールにかかる酒税の基本となる麦芽に代わり、別の原材料を使って税率を低く抑えたビール系飲料。新ジャンルとも呼ばれる。原料の麦芽比率が50%以上だとビールで、発泡酒は主に50%未満。第三のビールは原料に豆類を使ったり、発泡酒に蒸留酒を混ぜたりして製造する。