【インタビュー】災害医療支援室副室長・山下和範 専属部署が動きやすい

災害医療支援室の役割を語る山下副室長=長崎大学病院

 長崎大学病院災害医療支援室の狙いや今後の目標を山下和範副室長に聞いた。

 -災害医療支援室の必要性をどう考えているか。
 長崎大学病院は基幹災害拠点病院であり、災害時に地域で中心的な役割を果たす必要がある。そのためには病院内に災害専属の部署が必要だと思う。災害派遣医療チーム(DMAT)が養成されているが、別組織にしていた方が活動しやすい。

 -主な取り組みは。
 教育がメイン。病院で災害対応をする際、対策本部の業務を支援できる職員を養成している。他にDMATを派遣する際の調整業務や大雨の時に情報収集態勢を敷くなどしている。
 他の病院でも大雨特別警報が出た際などDMAT隊員が動いていると思う。ただ、責任感で自分の時間を割いて活動するのはよくない。病院に認めてもらった上で備えをするには災害専属部署をつくった方が動きやすい。

 -平時から災害医療に関わる各団体が集まる会議が必要と提案している。
 災害時は急性期(発生後おおむね48時間以内)の人命救助を中心に、避難所の対応や保健分野の活動がメインになる。こうした状況では組織横断的な会議体が必要になる。平時から会議体が組織されていれば災害時に対応の中心になれると思う。
 県内、長崎市内で組織横断的に結び付いた集まりの中に外部から支援団体が入って情報共有を図り、対応に結び付く体制がつくれたらいい。

 -今後の目標は。
 長崎大学病院では職員一人一人が最低限の災害対応をできるようにしたい。病院外に対しては関係機関と情報共有して対応できるようにしたい。市町とは結び付きが弱い。災害医療を担当する職員とコンタクトを取り、保健所の職員とも災害時の対応を考える機会をつくりたい。

 


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