失業したのにお金と家事を要求する彼に困惑…都合がいい関係に終止符を打った34歳女性

派遣で雇い止めをされたとかアルバイトを突然クビになったとか、仕事を失う話を最近、よく聞くようになりました。コロナ禍において業績が悪化している企業が多いのです。そんな中、派遣で雇い止めをされた女性が、彼の態度に困惑しています。


家に住まわせてくれたけど

今年の5月末、コロナウイルスの影響で会社の存続が危ういことから、ミヤさん(34歳)は派遣を雇い止めになりました。

「派遣会社自体もつぶれる可能性が高くなって、新たな仕事も紹介してもらえない状態。失業保険はすぐ出ることになったのですが、先が見えずにどうしようもなく不安でした」

ミヤさんには、昨年の暮れに知り合い、今年の初めからつきあっている3歳年下の彼がいます。彼は仕事上、コロナ禍でも通常勤務。彼女のことをとても心配してくれたそうです。

「とりあえず賃貸マンションを解約して引っ越してくれば、と彼が言ってくれました。確かに働けなくなると家賃がネックなんですよね。あのときは不安が先に立っていたし、彼が親切に言ってくれたのがありがたくて、家賃を払わなくてすむということに飛びついてしまいました」

車を借りて引っ越しも彼に手伝ってもらって自分たちですませました。彼は就職したときに親が頭金を出してくれ、ローンを組んで2LDKの部屋を所有していました。

家賃に生活費、支払うお金

「引っ越してすぐ、彼が『4万円でいいよ』と。何がと思ったら、私の分の家賃でした。住まわせてくれるというから、てっきり無料だと思っていたので意外でしたね。でもよく考えてみれば、彼の月々のローンの半分を私が負担するということは、ここを好きに使っていいということでもある。家賃4万円では都内に住めませんから、了解するしかありませんでした」

恋人として同棲するのではなく、シェアハウスとして考えればいいと納得したのです。ところが彼、「どうせ暇なんだったら家の中のこと、やってくれない?」と言い出しました。

「今思えば、だったら報酬がほしいと言えばよかったんですよね。だけどやはり住まわせてもらっている感覚があったので、できる範囲でやると答えました。それ以来、洗濯、掃除、彼がいると言った日の夕食など家事万端、私がやるようになりました」

彼は生活費として1万円払う、だが光熱費として1万円もらうと言います。なんだかおかしいと思いながら、彼女は頷いてしまいました。

「でも彼は朝はパンがいい、サラダもほしいと。夕食だってほぼ家で食べますから、とてもひとりあたり1万円ではすまない。洗剤やティッシュなどの雑貨類だって必要ですしね。私の失業保険から出すしかありませんでした」

これほどお金がかかっているとわかってもらうために、彼に家計簿を見せようとしたことがあります。でも彼は「結婚したわけでもないんだから、そういう所帯くさいことはやめてよ」と見ようともしませんでした。

彼が仕事を紹介すると言い出して

ミヤさんは新しい派遣会社に登録しましたが、仕事自体が見つかりません。すると彼が、「こんな仕事がある」と勧めてくれたのが、家でできる事務的な仕事でした。

「それが初期費用として3万円かかるというんですよ。アヤシい手口ですよね。私、そのころにはすっかり彼のことを疑惑の目で見ていました。もともと、断れない関係にあって、しかも立場の弱い私から、お金を引っ張るつもりだったのではないか、と。たいしてお金もないから彼にとっては、最初からそうするつもりというよりは、少しでも自分の出費を減らしたかっただけかもしれませんが」

3万円は払えないと彼女は突っぱねました。仕事は自分で見つけるから、と。すると彼は彼女をぎゅっと抱きしめて、「結婚しよう」と言ったのです。

「話が飛躍しすぎてついていけませんでした。一緒に住むようになってから、あまり性的な関係はなかったんです。なんだか大家と雇われ家政婦みたいな関係になっていたので、どちらからも誘わなくなっていました。でも彼、仕事のあっせんで失敗して、私に逃げられたくなかったんでしょうね、だから今度は結婚を口にした。そういうことだと思います」

彼にとって、彼女は住宅ローンを半分、負担してくれる存在だし、それ以上の負担なしに食費も雑費もまかなってくれる人です。こんな都合のいい“ルームメイト”を手放す理由はありません。

友達からみた彼との関係

「私は光熱費は払わなかったけど、食費と雑費で3,4万円は負担していました。それでもひとりで家賃を払って暮らすよりはマシだったから我慢していたんですが、あるとき友人に会ってちょっと愚痴ったんですよね。そうしたら彼女が、『そういう気持ちにつけこんで、そのうち貯金も巻き上げられちゃうかもしれない。彼のことが本当に好きならいいけど、そうでないならたとえ生活が大変でも、自分でがんばるべきじゃないかな』と。ハッとしました。失業して仕事も見つからず、彼にすがるしか生きて行く道がないと思い込んでいたんですね、私」

恋人であるなら失業しているミヤに、そんなに経済的に負担させるのもおかしい、やさしくないと友人は言いました。確かにそうだ、とまたもミヤさんは目から鱗が落ちました。

仕事を失うことは生存不安に直結します。生活の基盤がなければ気持ちも落ち着きません。そんなとき、つきあい始めたばかりの彼にすがりついてしまったミヤさんの行動は、もちろん理解はできます。でも、それがさらなる精神の不安定につながることもあるのでしょう。

ミヤさんは彼と別れ、今は忠告してくれた友人の家にいます。つい最近、ようやく仕事が見つかりました。

「それでも虎の子の貯金に手を付けなかったので、なんとかアパートは借りられそうです。彼がどんなつもりだったのかわからないし、聞く気もありませんが、もしかしたら彼も残業代などが減って経済的にきつかったのかも。そもそも私たちの間には恋愛関係すら築けていなかったんじゃないかと今は思っています」

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