ボッタスが得意のソチで今季2勝目、最速ラップも記録。ホンダPU勢は全4台が入賞【決勝レポート/F1第10戦】

 9月27日現地時間午後2時10分、F1第10戦ロシアGP決勝が行われ、メルセデスのバルテリ・ボッタスが優勝を飾った。2位はマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、3位はルイス・ハミルトン(メルセデス)だった。

 土曜とは打って変わって晴天に恵まれ、気温は30度、路面温度は41度まで上昇し、金曜よりも5度ほど高いコンディションとなった。

 アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)とニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)は予選後にギヤボックス交換を行い5グリッド降格ペナルティを受けている。ハミルトンはレコノサンスラップに出て行く際のスタート練習を規定外の位置で2回行ったため、スチュワードの審議対象になった状態でのレーススタートとなったが、後に5秒加算ペナルティを2回分で計10秒の加算ペナルティを科されることとなった。

 Q3進出組では2番グリッドのフェルスタッペンと3番グリッドのボッタスだけがミディアムタイヤでスタートし、ポールポジションのハミルトンはQ2赤旗中断の影響でソフトタイヤスタート。予選11番手以下ではダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)とキミ・ライコネン(アルファロメオ)がハード、それ以外は全車がミディアムをチョイスした。

 ケビン・マグヌッセン(ハース)はフォーメーションラップに出ていくのが遅れたものの、パワーユニットを再起動してスタートし集団に追い付いて正規のグリッドに就くことが許された。

 スタートで好加速を見せたのはボッタスで、すぐさまフェルスタッペンの前に出るとハミルトンのスリップストリームを使い、ターン2でアウトから被せていく。しかしポールのハミルトンはなんとか首位を守りきった。

 後方ではフェルスタッペンがターン2で止まりきれずオーバーシュートしてリカルドに抜かれるが、ターン7で抜き返して3番手を取り戻した。

 同様にターン2で飛び出したカルロス・サインツJr.(マクラーレン)は、ターン3でコースに復帰する際にバリアにヒットしてクラッシュ。コースに戻ってきたサインツJr.車のすぐ後ろにいたランド・ノリス(マクラーレン)も巻き込まれて最後尾に後退してしまった。

2020年F1第10戦ロシアGP 1周目、バリアにヒットしたカルロス・サインツJr.(マクラーレン)のマシン

 ストロールはターン4の出口でシャルル・ルクレール(フェラーリ)に追突されてスピンを喫し、コース上にストップ。これでセーフティカー導入となり、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)、アルボン、ノリスは1周目にピットインしてハードタイヤに交換し、ここから実質ノーストップで最後まで走り切る戦略に切り替えた。

 順位は首位ハミルトン、2番手ボッタス、3番手フェルスタッペン、4番手エステバン・オコン(ルノー)、5番手ダニエル・リカルド(ルノー)、6番手セルジオ・ペレス(レーシングポイント)、7番手ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)、8番手ルクレール、9番手マグヌッセン、10番手ロマン・グロージャン(ハース)。レースは6周目から再開となり、今度は大きな混乱なく隊列が形成されていった。

 10秒ペナルティが科されたハミルトンに対し2番手ボッタスと3番手フェルスタッペンはそれぞれ1.5秒差でついていき、オコン、リカルド、ペレスも大きく離されることなくついていく。しかしペレスは15周目のターン3でイン側からリカルドに並んでターン4の飛び込みで前に出た。リカルドはこの周の終わりでピットインしハードタイヤに履き替えた。

 ピットストップが近いと指示されたハミルトンはペースアップして14周目からファステストラップを連発。首位ハミルトンは16周目にピットインし、10秒加算ペナルティを消化してハードタイヤに交換し、10番手ベッテルの後ろでコースに復帰する。

2020年F1第10戦ロシアGP ピットストップ時に2つのタイムペナルティを消化したルイス・ハミルトン(メルセデス)

 これで首位に立ったボッタスはペースを上げてフェルスタッペンを1周あたり0.4〜0.7秒ずつ引き離していき、フェルスタッペンは対ボッタスではなく対ハミルトンを考えながらレースをしていく。

 18周目にはオコンとガスリーがピットイン、ソフトスタート勢ではペレスが最長で20周目まで引っ張ってピットインし、オコンの前でコース復帰して見事にオーバーカットを果たした。

 23周目にはフェルスタッペンのタイヤにややバイブレーションが出始め、1周目にピットインしたアルボンのハードタイヤもバイブレーションが出る。フェルスタッペンは25周目にピットインし、ハードタイヤに履き替えてハミルトンの5秒前方でコースに戻った。目の前にはハードタイヤで走り続けるクビアトがいるが、27周目のターン2で難なくパスする。翌26周目にはボッタスがピットインしてやはりハードタイヤに履き替え、フェルスタッペンの9秒前方首位のままでコースに戻る。

 25周目、ルノーはベッテルに引っかかって抜けないオコンに対しリカルドを先行させるよう指示を出す。しかしリカルドはタイヤをロックさせてターン2エイペックスの縁石をカットし、そのままコースに復帰ししたため5秒加算ペナルティを科されることとなった。28周目に2番手を走るルクレールがピットインし、リカルドとオコンの間に復帰。ルノー勢はルクレールとの5番手争いとなったが、オコンはリヤタイヤのグリップ低下に苦しみクビアトが背後に迫る。

2020年F1第10戦ロシアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第10戦ロシアGP エステバン・オコン(ルノー)

 レースは残り20周というところで各車が最後まで走り切るべくタイヤマネージメントに徹し、首位ボッタス、13秒後方に2番手フェルスタッペン、そこからさらに10秒後方に3番手ハミルトン、4番手ペレスは5秒後方、そこからさらに10秒後方に5番手リカルド、6番手ルクレール、7番手オコン、そして8番手クビアト、9番手には34周目にライコネンを抜いたガスリーが上がってきた。ライコネンは35周目まで引っ張ってピットインし、10番手にはノリスが上がる。アルボンは2回目のピットストップを強いられ14番手に後退し再びポジションを挽回していく。

 43周目にはグロージャンがヒットして壊したターン3内側のボードを直すためにバーチャルセーフティカー(VSC)導入。この間にガスリーがピットインしてミディアムの新品に履き替えた。しかしVSCはすぐに解除となり、これでノリスとアルボンに先行を許して11番手に後退するが、2台は目の前にいる。

 ガスリーは45周目のターン13でアルボンを抜き、46周目のターン2でノリスを抜いて9番手まで取り戻した。ノリスは47周目のターン13でロックアップしてしまい、ピットインを余儀なくされてアルボンが10番手へ。

 48周目にはフェルスタッペンが1分37秒715のファステストラップを記録。しかし50周目にタイヤがフレッシュなガスリーが1分37秒231で塗り替え、51周目にはボッタスがアタックして1分37秒030を記録しファステストラップポイントも獲得。後続を寄せ付けることなくそのままトップでチェッカードフラッグを受けて開幕戦以来の今季2勝目を挙げた。

 フェルスタッペンは最終ラップにアタックしたものの7.729秒後方で2位、ハミルトンはそこからさらに15秒遅れて3位に終わった。中団トップは4位ペレス、5位は5秒加算ペナルティを受けてもリカルド、6位にルクレール、7位はクビアトを秒差で抑えきったオコン、9位にガスリー、アルボンはターン2カットで5秒加算ペナルティを科されたものの10位のまま変わらず、ホンダ勢は4台全てがポイント獲得を果たした。

2020年F1第10戦ロシアGP表彰式 バルテリ・ボッタス(メルセデス)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2020年F1第10戦ロシアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第10戦ロシアGP 母国レースを迎え、8位に入賞したダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)

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