MotoGP第9戦:クアルタラロが今季3勝目を挙げてランキングトップに。スズキのふたりはそろって表彰台獲得

 MotoGP第9戦カタルーニャGPの決勝レースがスペインのカタロニア・サーキットで行われ、MotoGPクラスはファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)が優勝。2020年シーズン3勝目を挙げて、チャンピオンシップのランキングトップに立った。また、2位と3位にはチーム・スズキ・エクスターのふたりが入り、2015年にMotoGPクラス復帰してから初めて、スズキとしてはふたりそろっての表彰台獲得となった。

 MotoGPクラスの決勝レースは気温17度、路面温度20度と、今週末の同じ時間帯と比べても低めのコンディションとなった。

 好スタートを切ったのはフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)で、ホールショットを奪い、さらに同じく好スタートを切ったジャック・ミラー(プラマック・レーシング)が2番手で1コーナーに飛び込む。

 この2コーナーで、後方ではクラッシュが発生。チャンピオンシップのランキングトップ、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)とヨハン・ザルコ(エスポンソラーマ・レーシング)が転倒を喫した。

 1コーナーから2コーナーに左に切り返したとき、ザルコのフロントが切れ込んでスリップダウン。そのアウト側にいたドヴィツィオーゾをアウト側に押し出す形でのクラッシュとなった。ふたりはここでリタイア。チャンピオンシップリーダーのドヴィツィオーゾがまさかのノーポイントとなった。

 1周目の10コーナーではミラーがラインを外し、後退。オープニングラップを、トップがモルビデリ、2番手がロッシ、3番手がクアルタラロで終える。トップ3をヤマハライダーが占める一方、前戦ウイナーであり、5番グリッドからスタートしたマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)はスタートで大きくポジションダウンし、16番手。

 序盤はモルビデリがレースをリード。2番手のロッシ、3番手のクアルタラロ、4番手のミラー、5番手のジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)までほぼ等間隔。しかし5周目、少しずつ差を詰めたクアルタラロがメインストレートでロッシの前に出ると、1コーナーでロッシのインに入り、オーバーテイク。クアルタラロが2番手に浮上した。

 2番手に浮上したクアルタラロは、トップのモルビデリを追う。9周目、クアルタラロがメインストレートでモルビデリの前に出ると、1コーナーでオーバーテイク。ロッシと同じ場所でモルビデリを交わすと、ついにクアルタラロがトップに立った。クアルタラロはこの周、ファステストラップを記録。しかし依然として、クアルタラロ、モルビデリ、ロッシ、さらに4番手のミラーまでの差は1秒以内という状況。

 13周目、7番手を走っていたポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が1コーナーでフロントを切れ込ませて転倒。エスパルガロ弟はここでリタイアとなった。

 さらに15周目、モルビデリが1コーナーのブレーキング中にリヤの挙動を大きく乱し、ラインを外す。ロッシがこのタイミングでモルビデリを交わし、2番手に浮上。モルビデリは3番手に後退した。2番手に浮上したロッシだったが、ポジションを上げた翌周の2コーナーでスリップダウン。表彰台圏内を走行していたものの、ここでリタイアとなった。

■モルビデリはレース終盤にペースダウン

 タイヤのグリップ低下が注目されるレース終盤、多くのライダーのラップタイムが落ち始める。クアルタラロは次第にアドバンテージを広げていき、独走態勢を築く。そうしたなか、ラインを外した3番手のミラーを交わし、代わってミルが3番手に浮上。さらに13番グリッドから5番手にまでポジションを上げていたアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)が、残り5周でミラーの背後に迫る。

 ラップタイムはわずかにリンスのほうが速い。そしての残り5周の10コーナーで、リンスがミラーをとらえた。ミラーを交わしたリンスは、4番手に浮上する。

 さらに前を走るチーム・スズキ・エクスターのミルは、モルビデリと2番手争いを展開。残り2周で、その差は0.1秒を切った。ミルは残り2周、1コーナーのブレーキングで挙動を乱しながらもモルビデリの前に出ると、2番手に浮上。さらにモルビデリはリンスにも交わされ、ミルが2番手、リンスが3番手でラストラップを迎えた。

 レースをリードするのは依然としてクアルタラロ。クアルタラロはポジションを譲ることなく、トップでチェッカーを受けた。クアルタラロにとっては、第3戦アンダルシアGP以来の勝利。2020年シーズン3勝目を挙げて、チャンピオンシップでもランキングトップに躍り出た。

 2位フィニッシュはミル、3位はリンス。スズキ勢ふたりが表彰台に上った。リンスは13番グリッドから3位フィニッシュの大躍進だ。また、スズキとして2015年にMotoGPクラスに復帰して以来初めて、ライダーがふたりそろっての表彰台獲得となった。

 モルビデリは終盤のペースダウンが響き、4位。5位にはミラーがはいった。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は終盤、ミラーや6位のフランセスコ・バニャイア(プラマック・レーシング)に迫る走りで、7位フィニッシュ。前戦ウイナーのビニャーレスはまさかの9位に沈んだ。

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