五島で遠隔勤務いかが 市が受け入れ促進、移住狙う

来年1月に五島市で開催される「島ぐらしワーケーション」のPR画像

 新型コロナウイルス禍で在宅や遠隔での勤務が浸透し、人々は仕事や生活の場を選ばなくなった。長崎県五島市は、市内をこうしたリモートワークの受け入れ地にする取り組みを加速させている。来年1月には都市部の会社員らを誘致し、仕事と休暇を併せた「ワーケーション」のイベントを主催。来島者には自らの業務だけでなく、民泊や地場産業の体験などを提供し、島民との交流や島暮らしへの理解を深めてもらう。最終的な狙いは、移住だ。
 同市はコロナ流行前の昨年度から、リモートワークやワーケーションを推進。昨年5月と今年1月のイベントには、都市部から延べ100人以上が参加した。終了後も参加者が島内で新たな事業を起こしたり、島民と交流を続けたりと、多様な効果が生まれている。
 その後、コロナ対策で在宅勤務が一般化し、都市部では本社機能を縮小する企業も。郊外や地方で働くことへの理解も広まり、この流れはコロナ収束後も続くとみられる。
 五島市はこうした“波”をつかもうと、来年1月に市内で「島ぐらしワーケーションin五島列島」を開催予定。3泊4日~9泊10日の日程で全国から50人を招き、島に滞在しながら働いてもらう。参加者には各自が持ち込んだ業務だけでなく、2日間の民泊、地元の農漁業や食品加工などの仕事体験、釣りや観光などの遊び、同行した子ども向けアウトドアスクールなどを提供する。将来的な移住に向け、「リアルな五島」を知ってもらう狙いだ。
 市の委託を受けて企画運営する一般社団法人「みつめる旅」は、「地域と共生しながら、ウィズコロナやアフターコロナ時代の生き方と働き方を見詰め直してほしい。『東京でなくても仕事ができる』と気付き始めた人に、五島の魅力を提案したい」としている。
 ワーケーションの参加者は10月11日まで募集(選考や抽選あり)。新型コロナ対策として、出発2週間前からの健康チェックなどを義務付ける。同市へのふるさと納税をすれば、金額に応じて発行されるクーポンを参加費用に充てられる。申し込みや詳しい内容は公式サイトで。

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