【高校野球・秋季神奈川県大会】躍進鎌学、校歌を甲子園で 竹内監督、伝統校復活を導く

チームを33年ぶりの秋季関東大会に導いた鎌倉学園の竹内監督=サーティーフォー保土ケ谷球場

 27日に閉幕した高校野球の秋季神奈川県大会。躍進を遂げた鎌倉学園高は決勝で敗れたものの、33年ぶりの秋季関東大会出場を決めた。2021年に創立100周年を迎える伝統校の復活を後押ししたのは、OBで就任7年目の竹内智一監督(39)。「甲子園で校歌を歌うことが目標。学園全体で喜びを共有したい」と約半世紀ぶりの選抜大会出場を見据えた。
 
 「勝てば甲子園、負ければ終わるという意識で挑んだので、選手と一緒で素直に悔しい」。東海大相模高との決勝は2─8の敗戦。じわじわと点差が広がる展開にも最後までベンチで声をからし、ナインに奮起を促した。

 鎌倉市出身で現役時代は内野手。高校2年時に武田隆監督=現教頭=の勧めでマネジャーに転向し、最後の夏は三塁コーチャーを務めた。早稲田大学では学生コーチとなり、同期の青木宣親(現ヤクルト)らと4年間を過ごした。

 グラウンドで光を浴びるスター選手とは異なる立場で野球に携わり、「一緒に練習してきた選手が実力を発揮してくれたことが喜びに変わった」。そんな思いも指導者人生の原点になった。

 大学卒業後、一度は飲料メーカーに就職したが「今の自分の礎をつくってくれた鎌学に恩返ししたい」と06年に母校の教員に転身。13年から監督として野球部を率いる。文武両道の男子校にはスポーツ推薦がなく、グラウンドも両翼約50メートル。そうした環境を言い訳にせず、部員72人ととことん向き合ってきた。

 「今の環境、今いるメンバーでも最後まで食らい付けば、ここ(決勝)まで来られることを選手に教えてもらった」と竹内監督。次は1969年以来3度目の選抜大会出場を果たし、節目の年に花を添えるつもりだ。

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