家事と育児と男と女 第116回 毛繕いも信頼あればこそ

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「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第116回のテーマは「仲良く老いる夫婦でいたい」です。

うちは現在私が44歳、パートナーが53歳です。人生がアバウト80年だとすると、もうお互い半分過ぎています。とはいえ、平均寿命がどんどん長くなって、長寿社会になっていることを肌で実感しているな~と思っています。

映画「ロード・オブ・ザ・リング」に出てくる架空の人種「ホビット」は、平均寿命が100歳で120歳くらいまで生きることもあり、そして成人年齢が33歳……という設定を聞いて「そろそろ人間もそんな感じじゃない……? 」と思っています。祖父母の時代、60歳は老人って感じでしたが、いまや60歳はまだおじさん・おばさんですよね。実際に定年も年金受給年齢も徐々に上がっていくようなので、個人的には成人年齢を下げることに違和感を覚えたりしています。

とはいえ、そう簡単に進化するわけではない人間の体。私自身の肉体の加齢は進んでおりまして、44歳の今、私は老眼の進行に日々ビックリしております。そしてどんどん増え続ける白髪! どんなに長寿になっても当然のように老化はするのでした……。

また、最近よくパートナーの眉毛から長い毛が生えています。本人は目が悪くてメガネをかけているのであまり見えてないらしいのですが、私からはよく見えます。老眼ってなってみてわかったんですが、本当に近いところだけ見えづらいんですね。「目が見えない! 」と思って慌てて眼科に駆け込んだら、視力は相変わらず両目で1.5ありました。「両目で1.5あるのに近くが見えない……?! 」と、意味がわからなかったのですが「近くのピントをうまく合わせられない」のが老眼だと知りました。なので、ちょっと離れたパートナーの眉毛はよく見えるのです。

そんなわけで、気が付いたらパートナーの伸びた眉毛を切っています。これをやっていると「サルの毛繕いみたい……」と、なんだか家族ならではというか、ものすごくプリミティブな仲間感があります。

私の知り合いで夫に白髪を抜いてもらっている人もいて、そのときもかなり「サルの毛繕い」みたいだそうです。でも! 白髪は抜かないほうがいいらしいですよ……。増えてくるといくら抜いても間に合わないし、次に生えてくるのも白髪なので、分け目とか目立つところだけに「ピン」と白髪が立ってしまう。そしてそれが増えると白髪の林ができてしまう……という話を美容師さんから聞いて以来、私はずっと白髪を染めています。

私は20代から白髪がありまして、長年ずっと白髪染めをしてきました。根元を見ると、加齢とともに白髪が増えてるのはわかっているんですが、白髪染めをして10年以上……「一体私の白髪はどれくらい進行しているのか? 」と疑問に思い、白髪だけヘアマニキュアで別の色に染めてみることにしました。前から白髪が染まる程度の暗い赤系で染めてたんですが、最近「白髪だけ赤」に染めることにしたのです。一度白髪染めしたところは暗いままなので、根元から徐々に「白髪だけ赤」ということになります。そしてかれこれ1年、今の私の髪の毛は……かなり赤い。つまり、かなりの量が白髪だったのです……!

かたやパートナーも白髪が多いタイプ。長年白髪染めをしていましたが、白髪が増えて伸びてくるとすぐに白さが目立つようになり、「伸びても色の境目がわかりにくい」という理由で、ちょっと前に金髪にしました。白髪染めをしていると色が抜けきらず、最初はちょっと明るい茶髪でしたが、最近はすっかり金髪のおじさんです。

2人とも、老いに抗うというよりは「楽しく歳をとりたい」という気持ちです。私は「白髪なら色がキレイに入りますよ」とすすめられて、「じゃあ暗い色じゃなくて、好きな色に染めよう」と思ったのもあって赤にしているし、パートナーも「どうせだったら金髪とかにしちゃおう」と前向きな選択だと思います。……ただ、ちょっと髪色の派手な夫婦になってしまいましたが。

我が家は再婚同士で、結婚生活のスタート時は36歳と44歳でした。なのでまだ8年くらいの夫婦生活ですが、パートナーの眉毛を切っているときは「こういうことができる関係は大事にしたいなあ」と思います。

まだまだ派手にケンカすることもあるので、全然穏やかな夫婦ではないのですが、「一緒に老いる」関係というのは信頼関係あってこそじゃないかなあ、と思います。些細なことのようですが、私は信頼関係が損なわれた相手の眉毛なんか切れないタイプなので。

そして肉体は老化していくとしても、まだまだ鍛錬すれば何事も上達するというのも忘れないようにしています。我が家は「コミュニケーション」の上達を目指していて、夫婦や親子など家族間のコミュニケーションに関して、日々反省・修正・改善を試みています。

だって、人生まだあと半分くらいあるんです。30年~40年、下手するともっとあるかもしれない。そう考えると残りの人生のためにはお互いのコミュニケーションをもっとブラッシュアップして、日々の生活を快適にすることに全力をかける価値があると思うのです。

もちろん生きていれば不安になったり、暗い気持ちになったりすることもあります。肉体の衰えとか未来に希望が持てない日もあります。白髪や老眼以外に、歯医者へも定期的にメンテナンスに行かないといけないし、定期的に通う病院も増えていきます。

それでも、老眼には老眼鏡、白髪は好きな色に、健康には気をつかう。そして、家族でケンカをしたりすれ違ったりしたら、日々話し合って物事を解決する。残りの人生を快適にするためにどうしたらいいか考える。それを積み重ねて先に進むしかないんだろうなあと思って暮らしています。

子どもに対して「我慢はさせない、解決をする」という考えですが、自分達もそれを実戦できるように気をつけています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。