集落の「守り仏」帰還に喜び 修復終えた木造千手観音 熊本市北区

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熊本地震で被災し、修復を終えた「木造千手観音立像」。立福寺伊邪那岐神社観音堂に再安置され、法要が行われた=熊本市北区

 熊本地震で被災した後に熊本市指定文化財となった「木造千手観音立像」が26日、約半年間の修復を終え同市北区の立福寺伊邪那岐[りゅうふくじいざなぎ]神社観音堂に戻った。氏子らが法要を開き、集落の「守り仏」の帰還を喜んだ。

 仏像は室町時代中後期の作で、高さ約1・6メートル、幅1・1メートル。修復過程で内部から墨書が見つかり、熊本城の前身・隈本城を築いた鹿子木親員[かのこぎちかかず](寂心[じゃくしん])との関連や、江戸中期まで存在し、地名の由来となったとされる「龍福寺」の痕跡を示す貴重な史料として注目されていた。

 地震で両肩が外れ、手首が落下するなどしたため、氏子らが市に相談し、調査後の2019年に文化財指定を受けた。今年3月に福岡県の仏師の元で解体修理を開始。費用約251万円は、市の補助金や県の基金などを活用した。

 この日は、修復を終えた仏像を堂内に運び込み安置。氏子や市職員ら約20人が出席して入仏の法要が開かれた。立福寺宮総代の山野芳春さん(73)は「修復中もお堂の清掃を欠かさず、観音像の写真を飾ってお参りしてきた。集落の守り仏がきれいになって戻り、ようやく安心できる」と話していた。(魚住有佳)