性犯罪 当事者の声「変革につながる」と専門家

 法務省は今年、性犯罪に関する検討会を立ち上げ、処罰規定の見直しなどを進めている。長崎総合科学大の柴田守准教授(刑事政策・被害者学)は「被害の親告は本人にとって重い負担となるが、非常に大きな意味があり、被害者の声が社会の変革につながる」と指摘する。
 性犯罪の実態として、被害者が声を上げにくい背景を知った上で加害者が犯行に及ぶ傾向がある。柴田准教授は、全国に設置されている被害者支援や法的措置を一手に担うワンストップ支援センターの活用が重要とした上で、「被害者にとって福祉の受け皿を増やすためにも、できるだけ事件化を視野に警察に被害届を出すことが望ましい」と助言する。また被害者が二次被害を受けた場合は回復が長期化する傾向があり、「性暴力や性犯罪の被害に対する国民全体の理解を深めるべきだ。教育や啓蒙(けいもう)が欠かせない」と指摘する。
 本県のワンストップ支援センターである長崎犯罪被害者支援センター(サポートながさき)によると、2019年度に受理した性犯罪被害の相談件数(電話・面接)は延べ318件(前年度比132件減)。担当者は「家族にも言えず、センターにだけ相談する人は一定の割合でいる。センターが把握しているのは氷山の一角にすぎない」と語る。

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