コロナ禍の株高の背景。迅速な緩和措置など金融システムへの信頼、一方でバブルの危険性も

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 新型コロナ感染症対策の緊急事態宣言が発令された4月を含む日本の4-6月実質GDPは年率にすると27.8%の大幅な減少であった。アメリカでも同32.9%減、イギリスでは59.8%という大幅な減少で、主要国はのきなみ実体経済の大幅な落ち込みとなっている。

 これに対して世界の株式市場は上昇傾向を維持している。日米欧の株価動向を見ると2月から3月にかけて大きな落ち込みがあり一時的に混乱し3割程度の暴落があったものの、その後3月下旬には急速に回復し、8月には日経平均、米国S&P500は2月上旬の水準にまで戻している。日米欧の各国とも個人消費・企業業績が大幅に低迷し実体経済が打撃を受けている中、株式市場は好調に推移している。この実体経済と株式市場の動向の乖離にはどのような背景があるのであろうか。

 17日に日本総研調査部金融リサーチセンターがこの点を分析したレポート「コロナ危機下のマーケットの急回復をどうみるか」を公表している。レポートでは市場の急回復の背景を以下の3つにまとめている。(1)金融システムの安定維持:主要中銀による迅速なスワップライン構築等により、金融システム不安を回避したこと、(2)迅速な経済対策の実施:各国政府がロックダウンと同時に迅速な経済対策を講じたため、悪影響の波及が抑制されたこと、(3)早期の短期的な経済ショックであるとの織り込み:上記の結果、マーケットにおいて深刻な経済減速は短期で終わるとの見方が早期に織り込まれたこと。

 コロナ感染拡大後の市場の混乱により米ドルの需給が逼迫、3月10日以降ドルが急騰したが、FRB、日銀、ECB等の主要6中銀は3月15日、ドル・スワップ協定を通じた流動性供給を拡充、19日には豪州、韓国、ブラジル等9中銀も参加、米ドル供給網が迅速に構築されて金融システムの不安定化を回避した。そこに5~6月にはロックダウンの影響を示すデータが入手可能となり、金融の安定性を前提に、感染自体が長期化しても深刻な経済減速は短期間で終息するとの見方がマーケットに織り込まれたようだ。

 一方でリーマン・ショック後の金融緩和によって過剰流動性が蓄積されてきたところに今回の大規模な金融緩和で更に流動性は積み上がっており、マネーストック対名目GDP比は足許で大きく上昇している。「今後さらにマーケットが過熱感を強めた場合、バブル膨張につながる恐れがある」とレポートでは警告している。(編集担当:久保田雄城)

日本総研がレポート「コロナ危機下のマーケットの急回復をどうみるか」を公表