UK現代ジャズミュージシャンらによる名曲カバー集『BLUE NOTE RE:IMAGINED』

「BLUE NOTE RE:IMAGINED(ブルーノート・リイマジンド)」とは?

英国のデッカ・レコードと、伝説的なジャズ・レーベルのブルーノートがタッグを組み、2020年10月2日に国内盤CDが先行リリース(輸入・配信は10月16日配信)されるコンピレーションアルバムで、ブルーノートの歴史を代表する名曲をUK現代ジャズ・シーンの才能溢れるミュージシャン達が新たにカヴァーした作品。

ブルーノートは2019年に創立80周年を迎え、ジャズの歴史を彩ってきたカタログに再び光をあてており、今回の「RE:IMAGINED」プロジェクトは、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、ボビー・ハッチャーソン、ジョー・ヘンダーソン、ドナルド・バード、エディ・ヘンダーソン、マッコイ・タイナー、アンドリュー・ヒル等、数々の伝説的なミュージシャンによる楽曲に現代的な解釈が施されている。

参加アーティスト

1. ジョルジャ・スミス / Jorja Smith
2. エズラ・コレクティヴ / Ezra Collective
3. ポピー・アジュダ / Poppy Ajudha
4. ジョーダン・ラカイ / Jordan Rakei
5. スキニー・ペレンベ / Skinny Pelembe
6. アルファ・ミスト / Alfa Mist
7. イシュマエル・アンサンブル / Ishmael Ensemble
8. ヌバイア・ガルシア / Nubya Garcia
9. スチーム・ダウン / Steam Down
10. ブルー・ラブ・ビーツ / Blue Lab Beats
11. ヤスミン・レイシー / Yazmin Lacey
12. フィア / Fieh
13. ミスター・ジュークス / Mr Jukes
14. シャバカ・ハッチングス / Shabaka Hutchings
15.  メルト・ユアセルフ・ダウン / Melt Yourself Down
16. エマ=ジーン・サックレイ / Emma-Jean Thackray
17.  KAN SANO

ブルーノート・レコード社長ドン・ウォズコメント

「ブルーノートの音楽には、アーティストが常にコンテンポラリーな音楽を推し進めてきたという81年の歴史が詰まっています。“BLUE NOTE RE:IMAGINED”では、UKジャズ最高峰の若いアーティストのレンズを通してレーベルの伝説を見ることにより、その伝統が受け継がれていると言えるでしょう」

アーティスト&楽曲紹介

1. ジョルジャ・スミス / Jorja Smith 「Rose Rouge」

イギリス出身。2016年のデビュー・シングル「Blue Lights」がドレイクの目に留まり、翌年の彼のアルバム『More Life』の2曲に参加。2018年には1stアルバムでグラミー賞にノミネート、同年サマーソニックにも出演。ディオール・アンバサダーなどファッションアイコンとしても活躍し、インスタフォロワーは330万人を超える新世代の歌姫。

オリジナル:サン・ジェルマン『Tourist』(2000年)収録

 

2. エズラ・コレクティヴ / Ezra Collective「Footprints」

ロンドンを中心に活動する、シーン最注目の5人組。マイノリティへの無償音楽教育に力を入れているNPO「Tomorrow’s Warriors」から頭角を現し、2016年、2017年にEPをリリース。2019年には満を持してデビューアルバム「You Can’t Steal My Joy」を発表。様々な要素が入り混じったUK独特のジャズを体現した内容となっている。

オリジナル:ウェイン・ショーター『Adam’s Apple』(1967年)収録

 

3. ポピー・アジュダ / Poppy Ajudha「Watermelon Man (Under The Sun)」

幼い頃からジャズ、ルーツミュージックやロックステディといった音楽に親しみ育つ。ここ数年着実な活動を続け、2019年のJazz FM Awardsでは「Best Soul Act of the Year」を受賞。トム・ミッシュの1stアルバムにも参加。歌声がフィーチャーされた「Disco Yes」はバラク・オバマ前大統領の2018年のプレイリストにも選出され、話題を呼んだ。

オリジナル:ハービー・ハンコック『Takin’ Off』(1962年)収録

 

4. ジョーダン・ラカイ / Jordan Rakei「Wind Parade」

ロンドンを拠点に活動する、オーストラリア出身のマルチ奏者。ネオソウルを基調としつつレゲエやアフロ要素も取り入れた音楽性には、サム・スミスやロバート・グラスパーなど多くのミュージシャンが賛辞を送っている。2015年にロンドン移住後トム・ミッシュやアルファ・ミストなどとの共演を重ねその名が広く知られることとなる。

オリジナル:ドナルド・バード『Places and Spaces」(1975年)収録

 

5. スキニー・ペレンベ / Skinny Pelembe「Illusion (Silly Apparition)」

南アフリカのヨハネスブルグ生まれのマルチ奏者。ジャイルズ・ピーターソンが行う次世代アーティスト発掘プロジェクト「Future Bubblers」に選出され、その名と才能を広く知られる。2019年にはデビューアルバム「Dreaming is Dead Now」を発表。

オリジナル:アンドリュー・ヒル「Change」(2007年)収録

 

6. アルファ・ミスト /  Alfa Mist「Galaxy」

東ロンドンに生まれ、ヒップホップの影響を受けつつ後にジャズや映画音楽へと開眼し、ピアノを独学で習得したプロデューサー/コンポーザー。トム・ミッシュやジョーダン・ラカイからも称賛される稀代の才能の持ち主。2019年の来日公演は好評を博した。最新作『Structuralism』にはゲストでジョーダン・ラカイらも参加している。

オリジナル:エディ・ヘンダーソン『Sunburst』(1975年)収録

 

7. イシュマエル・アンサンブル / Ishmael Ensemble「Search for Peace」

サックス奏者ピート・カニンガム率いるジャズ・エレクトロニカ・グループ。ジャイルズ・ピーターソンも「リリースの度に進化を遂げている素晴らしいインディグループ」と絶賛している。2019年に待望のデビューアルバム『A State of Flow』を発表。ジャズのみならずアンビエントやサイケデリック・エレクトロニカの要素も交えた集大成的作品となっている。

オリジナル:マッコイ・タイナー『The Real McCoy』(1967年)収録

 

8. ヌバイア・ガルシア / Nubya Garcia「A Shade of Jade」

ロンドンを拠点に活動するサックス奏者、作曲家。10代後半で「Tomorrow’s Warriors」に参加、その後精力的に活動し頭角を現す。2017年にデビューアルバムを発表以降は海外ツアーもこなし、2018年と2019年にJazz FM Awardを受賞。2020年に名門Concordと契約し、シングル「Pace」をリリースした、今後のジャズ界を牽引する逸材。

オリジナル:ジョー・ヘンダーソン『Mode for Joe』(1966年)収録

 

9. スチーム・ダウン / Steam Down「Etcetera feat Afronaut Zu」

ロンドン南東部のバー「Buster Mantis」で毎週水曜に同名のイベントを主宰しているアーティスト・チーム。アフロ・ビートのテイストを前面に押し出し、オーディエンスと一体となり熱狂を生み出す様は、ロンドンで最もエキサイティングな夜とも呼ばれる。カマシ・ワシントン、ヌバイア・ガルシアなど数多くのアーティストとのコラボレーションを行っている。

オリジナル:ウェイン・ショーター『Et Cetera』(1980年)収録

 

10. ブルー・ラブ・ビーツ / Blue Lab Beats「Montara」

UKソウル・グループ=D・インフルエンスの総帥、クワメの息子NK OKとMr DMによるジャズ・デュオ。ジャズ、ヒップホップなどここ20数年のロンドンの遺伝子を受け継ぎつつも変わりゆく音楽シーンに若い感性で順応し、重鎮ロイ・エアーズなどからも称賛されている。発表したアルバム『Xover』と『Voyage』はいずれも高い評価を得ている。

オリジナル:ボビー・ハッチャーソン『Montara』(1975年)収録

 

11. ヤスミン・レイシー / Yazmin Lacey「I’ll Never Stop Loving You」

ジャイルズ・ピーターソンが主宰する次世代アーティスト発掘プロジェクト「Future Bubblers」で注目を浴びた、ジョルジャ・スミスに続くネオソウル・ディーヴァ。2017年、2018年にEPをリリースし、中でもシングル「Something My Heart Trusts」はSpotifyで約500万回再生のヒットを記録している。

オリジナル:ドド・グリーン『My Hour of Need』(1962年)収録

 

12. フィア / Fieh「Armageddon」

ノルウェーのオスロで活動する、ヴォーカルのソフィー・トレフスボルが率いるネオ・ソウルバンド。2017年にインディレーベルからシングルをリリース以降、ソウルやファンクの要素も取り込んだサウンドでロンドンをはじめ各地で話題となり、2019年にはDecca Recordsと契約してデビューアルバム『Cold Water Burning Skin』をリリース。

オリジナル:ウェイン・ショーター『Night Dreamer』(1964年)収録

 

13. ミスター・ジュークス / Mr Jukes「Maiden Voyage」

ボンベイ・バイシクル・クラブのフロントマンであるジャック・ステッドマンのソロプロジェクト。日本のジャズ喫茶からも着想を得、レイラ・ハサウェイなどと共演したデビューアルバム『God First』を2017年にリリース。サマーソニックにも出演している。

オリジナル:ハービー・ハンコック『Maiden Voyage』(1965年)収録

 

14. シャバカ・ハッチングス / Shabaka Hutchings「Prints Tie」

現代UKジャズ界の象徴とも言える代表的なサックス奏者。ジャズをベースとしつつ、幼少期を過ごしたバルバドスで親しんだカリブ音楽の影響も受けている。サンズ・オブ・ケメット、コメット・イズ・カミング、シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズという3つのグループを率いており、サンズ・オブ・ケメットの2018年作では名門Impulse!からデビューを飾った。

オリジナル:ボビー・ハッチャーソン『San Francisco』(1971年)収録

 

15. メルト・ユアセルフ・ダウン / Melt Yourself Down「Caribbean Fire Dance」

ロンドンの先鋭ジャズ集団、アコースティック・レディランドを率いていたピート・ウェアハムが2012年に結成。ジャズやパンク、北アフリカ音楽のスタイルも取り入れ、シャバカ・ハッチングスも当初参加。2013年以降コンスタントにアルバムを発表しており、2019年にはDecca Recordsと契約するなど、その影響力は益々大きなものとなっている。

オリジナル:ジョー・ヘンダーソン『Mode for Joe』(1966年)収録

 

16. エマ=ジーン・サックレイ / Emma-Jean Thackray「Speak No Evil / Night Dreamer」

ヨークシャー地方で育ったマルチ奏者。コルネットでのジャズ演奏から音楽活動をスタートし、エズラ・コレクティヴやヌバイア・ガルシアなどUKジャズ最高峰のミュージシャンと数多く共演。2020年に自身のレーベルMovementtを設立し、1st EP『Rain Dance』をリリース。ジャイルズ・ピーターソンからの信頼も厚い、期待の新星である。

オリジナル:ウェイン・ショーター『Speak No Evil』(1966年)、『Night Dreamer』(1964年)収録

 

17. Kan Sano「Think Twice」

今回の日本盤のボーナス・トラックとして、キーボーディスト/プロデューサーであるKan Sanoによる「Think Twice」が収録されることになった。

かねてよりジャイルズ・ピーターソンなどからその才能を絶賛され、若き天才トム・ミッシュに至っては「Kan Sanoのファンだ」と公言し自らの公演のオープニング・アクトとして指名するほど。その国際的な活躍が高く評価され、ジョルジャ・スミスやシャバカ・ハッチングス等現在のUKジャズ界を代表するラインナップと並んでの本作への収録が実現した。

彼が選曲した「Think Twice」は1975年にドナルド・バードがブルーノートから発表した楽曲で、メイン・ソースの「Looking at the Front Door」の元ネタとしても知られるクラブ・クラシックだ。今回のボーナス・トラック収録について、Kan Sanoは「もともと70年代のドナルド・バードにはかなり影響を受けていて、1stやBennetrhodes名義の作品には意識的にその影響を取り入れていたのですが、最近の作品にはそういう部分をあまり出してなかったので、カバーという形で残しておきたいなと思いました。J Dillaがカバーしていてネオソウル文脈でも捉えられてる曲なので自分にぴったりだと思ってます!」とコメントしている。

オリジナル:ドナルド・バード『Stepping into Tomorrow』(1975年)収録

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Various Artists 『BLUE NOTE RE:IMAGINED』
2020年10月2日CD発売 / 配信・輸入盤10月16日発売

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