これまで未公開の写真も多く収録されたザ・ビートルズ初期の姿を集めた新刊『Beatlemania: 1963-1965. Four Photographers on the Fab Four』が、ACC Art BooksとIconic Imagesからイギリスでは2020年9月7日、アメリカでは9月28日に出版された。この新刊にはノーマン・パーキンソン、テリー・オニール、マイケル・ウォード、デレク・ベイズの写真が収められている。
ポップ史家のトニー・バレルによる解説も収録されたこの本は、忘れられない時代のユニークな視点を提供し、ビートルズが世界的な名声を獲得した時の知られざるイメージを明らかにしている。
マイケル・ウォードの写真は、ビートルマニアがまだリバプールだけの現象だった頃、1962-63年の冬に故郷の街でプロモーション撮影をしていたビートルズの姿を捉えている。テリー・オニールは1963年にこのビートルズとの関係をスタート。ノーマン・パーキンソンは1963年の後半、ビートルズがセカンド・アルバムをレコーディングする際に撮影を行っている。
写真家の中でも、特にデレク・ベイズの裏話は魅力的だ。トニー・バレルは本書籍の中でこう説明しているように
「5月9日の日曜日、ビートルズは映画“ヘルプ!”の撮影の一環として、ロンドンのメイフェア周辺を走るように指示されていた。デレク・ベイズという31歳の写真家は、その日にビートルズを撮影することになるとは知らなかった」
「デレク・ベイズはある時、外の通りで騒ぎがあったのを聞き、これは写真を撮るチャンスだと思いライカのカメラを持って外に出ることにした。当時のデレク・ベイズはタイム誌やライフ誌で、アルフレッド・アイゼンシュタット、ロバート・キャパ、ゴードン・パークスなどの写真家のアシスタントとして働いていた」
「後に彼は写真家として独立し、1963年の大列車強盗事件から北アイルランド問題、リチャード・バートン、ピーター・オトゥール、ウィンストン・チャーチル、ルイ・アームストロング、フランシス・ベーコン、ローレンス・スティーヴン・ラウリーなど、当時の著名人を撮影した」
「その日、ベイズがタイム&ライフのビルを出るときに遭遇したシーンは、嬉しい驚きだった。ビートルズは“ヘルプ!”の撮影中で、ニューボンド・ストリートをうろついて、通行人の注目を集めていた」
「デレク・ベイズが撮ったビートルズの写真は現像されたが、ベイズは来るべきタイミングが来た時のために保管しておくことにしたのだ」
1967年、ベイズはその年の6月24日にアビーロードのEMIスタジオで行われた「All You Need Is Love」の世界衛星放送を間近に控えた「Our World」の宣伝のために、大勢のカメラマンの中で再びビートルズの写真を撮影した。この写真も当時は掲載されることはなかったが、ベイズはその後も様々なニュース記事の撮影を続け、ルポルタージュ写真専門のアスペクト・ピクチャー・ライブラリーを設立している。
Written By Paul Sexton