県職員の地域活動を推進 兼業報酬も容認へ

神奈川県庁

 消防団や自治会など地域活動の担い手不足が社会問題化する中、県はこれまで職員の地域活動参加を妨げていた庁内規制の緩和に乗りだす。新型コロナウイルスの影響でテレワークが増えるなど働き方が変化したことで参加しやすい環境も生まれている。県は地域活動に限らず文化芸術活動を含め、兼業による報酬の受領も原則認める方針で、職員の生きがいづくりや社会貢献につなげる考えだ。

 県では職員が兼業を始める際に任命権者の許可が必要。年間30件程度の許可があり、現在は約200人が消防団やサッカーの審判といった地域活動に取り組んでいると推計している。

 許可手続きには(1)職務の能率低下を来す恐れがない(2)利害関係を生じる恐れや職務の公正を妨げる恐れがない(3)風評のあるような職業でない─といった地方公務員法など法令上の要件に加え、(1)公益性や研修効果がある(2)予備自衛官や大学での講義など特に公共性の高い活動以外は報酬を辞退する─とした県独自の要件を設けている。

 一方、人口減少や少子高齢化によって自治会や消防団、青少年指導員、スポーツの指導・審判などの活動が衰退している地域も多く、人材不足が大きな課題になっている。

 県は「人生100年時代」を踏まえ、県庁以外で活躍の場を持つよう促してきたが、地域団体などの役員になると一定の謝礼が支給される場合があり、厳しい条件や許可手続きが活動参加を妨げてきたという。

 このため、県は法令上の要件は厳守した上で県独自の要件を年末までに廃止し、謝礼についても額が常識の範囲内であれば受領を認めることにする。許可手続きも人事課による決裁をやめ、各所属の権限で許可できるよう簡素化する。

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