不動産投資の初期費用はいくらから?費用を抑えて始められるポイントを解説

不動産投資の初期費用には、物件の購入額だけでなく諸費用も含まれていて、場合によっては、数百万円もしくは数千万円単位でかかります。予想外の高額出費に悩まされないためにも、しっかりと資金計画を立て、リスクを理解することが必要です。この記事では、不動産投資の初期費用についての基礎とあわせて、費用を抑えて始められるポイントなどを紹介します。

不動産投資の初期費用はいくら?主な内訳を解説

不動産投資の初期費用はいくらかかるのか、という点は不動産投資初心者であれば気になるところです。不動産投資の初期費用の大部分を占めるのは「物件価格」ですが、他にもさまざまなお金が発生します。まずは、不動産投資の主な内訳について解説します。

不動産登記費用

不動産登記費用とは、購入した不動産(土地/建物)の所有者であることを証明するための登記にかかる費用で、不動産投資において重要な手続きです。不動産登記費用は、専門家(司法書士など)への依頼の有無によって、具体的な価格が異なりますが、一般的には数十万円ほどかかります。ちなみに、不動産登記費用をさらに細かく見ていくと、次のふたつが発生します。

登録免許税

登録免許税とは、不動産登記を行うときに支払う税金のことで、土地であれば2021年3月31日までは固定資産税評価額に対して1.5%の税金が課せられます。2021年4月1日以降は、固定資産税評価額に対して2.0%の税金が課せられます。建物の登録免許税は、登記時期に関わらず固定資産税評価額に対し、課税率は2.0%です。

登録免許税は、購入する不動産の固定資産税評価額によって異なります。もし、購入する不動産の固定資産税評価額が高額な場合には、登録免許税も高くなるので注意してください。

司法書士報酬

不動産投資を行うにあたり、上で触れたとおり登記を司法書士に依頼するなら報酬を支払わなければなりません。不動産投資における登記申請は、必要書類を集めたり、法務局へ足を運ぶなどして、登記申請を自分で行う方もいます。しかし、不動産投資における登記申請は複雑なので、専門的な知識がないと難しいもの。そのため、自分で登記申請を行わずに、司法書士へ依頼するのが一般的です。

ただし、司法書士への報酬額は、法律によって具体的な金額が定められているわけではなく、司法書士事務所によって異なります。司法書士への依頼を検討するなら、複数の司法書士事務所の報酬額を確認し、価格を比較するのをおすすめします。

不動産仲介手数料

不動産仲介手数料は、不動産の購入が決まったら、利用した不動産会社に対して「成功報酬」という形でお金を支払うものです。不動産投資仲介手数料の額は、不動産の売買価格の約3~5%ほどを上限として設定されています。

簡易式は次のとおりです。
・不動産仲介手数料=(物件価格×3%+6万円)×1.1(消費税分)

購入する不動産の価格に応じて、仲介手数料の金額が異なります。ちなみに、不動産の所有者が売主である場合には、不動産会社を介しませんので、不動産仲介手数料は不要です。

不動産投資ローン事務手数料

不動産投資ローン事務手数料とは、金融機関などから融資を受けるときに支払う手数料のことです。「定額制」「定率制(ローン総額に対して)」の2種類があり、定額制の場合でだいたい3万円が相場です。定率制の場合は、ローンの総額に対して概ね1~3%程度といわれています。

ただし、不動産ローン事務手数料は、融資を受けるときだけではなく、繰り上げ返済をするときも支払わなければならないことがあるので注意が必要です。想定外の出費にならないよう、金融機関から融資を受けるときには、不動産ローン事務手数料がいつ発生するのかを確認しておきましょう。

不動産投資ローン保証料

不動産投資ローン保証料は、ローンを組むときに利用する「保証会社」へ支払う保証料です。一般的に、不動産投資ローンを利用するときには、保証会社を保証人とします。保証会社は、返済期間の長さや貸し倒れのリスクを考慮し、あらかじめ高額な保証料を受け取っておくのです。保証会社を利用するなら数十万円もの保証料を支払わなければなりません。

不動産投資ローン保証料の相場は、保証料を一括で支払う場合は融資額のおおよそ2%ほど、金利上乗せで支払うなら年間0.2~0.3%ほどといわれています。不動産投資ローンの利用を検討しているのであれば、保証料を忘れないようにしましょう。

不動産取得税

不動産取得税とは、不動産を取得したときに課せられる税金のことです。不動産物件の購入からおおよそ半年ほどで届く納税通知書に沿って支払います。不動産取得税の金額は、土地や住宅の場合、令和3年の3月末日までであれば購入した不動産の固定資産税評価額に対して3%です。住宅でない家屋の場合は、固定資産税評価額の4%と決められています。不動産取得税の課税率は、不動産を取得した時期や固定資産税評価額によって異なるので注意してください。

収入印紙税

不動産投資を行うにあたり、契約を紙の書類で交わすときに「収入印紙税」という税金を支払う必要があります。収入印紙税は、不動産を購入するときの「売買契約書」と、融資を受けるときの「ローン契約書」を交わすときに納めなければなりません。

収入印紙税を納める金額は、各契約書に記載してある金額によって異なります。たとえば、契約書に記載してある金額が100万~500万円である場合、売買契約書を交わすときの収入印紙税は500円、ローン契約書を交わすときは1000円とされています。各契約書に記載してある金額が高くなるほどに、収入印紙税も高くなるのです。

不動産購入後に発生する費用

不動産投資をはじめるにあたり、必要となるお金は初期費用だけではありません。不動産物件の購入後も、定期的にさまざまなお金が発生します。購入後に発生する費用として、とくに忘れてはいけないのが「税金」です。

税金は、毎年支払わなければならないうえに、所有する建物や土地によって金額も異なります。不動産購入後の資金繰りもきちんとシミュレーションしておくことが大切です。具体的に、不動産購入後にはどのような費用が発生するのか見ていきましょう。

固定資産税

固定資産税とは、不動産を所有している限り毎年納めなければならない税金です。1月1日時点の所有者が土地および建物それどれの固定資産税を納税しなければなりません。固定資産税(土地)の金額は、固定資産税評価額に対して1.4%かけたものです。評価額がだいたい1000万円であった場合、固定資産税はおおよそ14万円ほどです。ただし、土地においては200㎡以下に限り、特例として6分の1に減額できます。

上記で解説した、固定資産評価額1000万円に対する固定資産税の14万円は、おおよそ2万3000円ほどになります。なお、固定資産税の特例は、建物には設けられていません。固定資産税評価額に対し1.4%かけた金額が建物の固定資産税額です。

都市計画税

都市計画税とは、都市計画区域内の「市街化区域」に位置する不動産に発生する税金です。前項の固定資産税同様、毎年納めなければならない税金で、その年の1月1日時点の土地及び建物の所有者に課税されます。

土地計画税の金額は、固定資産税評価額に対して最大で0.3%の税率をかけたものです。固定資産税評価額がだいたい1000万円であった場合、最大税率0.3%をかければ、都市計画税の金額はおおよそ3万円とわかります。

都市計画税では、200㎡以下の土地に限り3分の1に減額できるという特例があります。もし特例が受けられるなら、上記で算出した都市計画税の3万円は、1万円へと減額できるのです。

区分マンション物件は、管理・修繕積立金などが必要

不動産投資のための物件を所有するにあたり、「区分マンション」を選ぶと、管理費や修繕積立金などが必要です。区分マンションの不動産投資に必要な「管理費」は、廊下やエレベーターなどの、共用部分の維持や修理のために毎月一定の額を支払うものです。

区分マンションの不動産投資における「修繕積立金」は、将来の修理に備えてあらかじめ毎月一定の額を積み立てていくお金ですので重要な費用といえるでしょう。区分マンションの管理・修繕積立金は、マンションの管理規約で定められている内容であり、支払いは必須です。

区分マンションで不動産投資を行う場合には、管理・修繕積立金のほかにも、さまざまなお金がかかります。区分マンションの不動産投資で必要なお金の詳細は、次で紹介します。

火災保険料・地震保険料

区分マンションの購入で加入が必須の火災保険や地震保険は、毎年契約を更新するタイプと、5~10年契約するタイプがあります。詳細は保険商品によって異なりますが、専有部分が火災や自然災害で損壊してしまった場合に、保険金で修繕できる補償が基本です。

修理費・ハウスクリーニング代

中古物件を購入したときや、入居者の退去後もしくは入居中に設備の不具合があれば、設備の修理や専有部分の修理及びハウスクリーニングが必要です。修理費やハウスクリーニングの費用は、状況によって大きく異なります。

設備の故障内容や、内装の劣化・汚れ具合などによって金額が左右します。故障は突発的で、タイミングも不確かなので資金計画が立てにくいものです。とはいえ、火災保険や地震保険で修理できる場合があります。さらに、ハウスクリーニングについては、業者に依頼せずに自分で対応できることもあるので、費用を抑えやすいポイントです。

リフォーム代

不動産投資を行うにあたり、安定した収益を得るためには「リフォーム」が欠かせません。新築のマンションであっても、経年により劣化していきます。劣化状況によってはリフォームを行わないと、次の入居者を確保できない可能性があります。

区分マンションのリフォームにかかる費用は、工事の規模によるものの、クロスの張替えでだいたい3万~6万円程度、水回りのリフォームでおおよそ20万~80万円ほどです。リフォームを行うときには、空室改善などの費用対効果のバランスを見ながらリフォーム代を調整しないと、赤字に陥るリスクがあるので注意してください。

不動産投資・購入時に初期費用を抑えて始めるためのポイントとは?

中古マンションをリノベーションした物件は新築物件より安いため、初期費用を抑えやすい。最低限の現金は手元に残しておく工夫が大事

不動産投資や不動産の購入時に、初期費用を抑えて始められるポイントがあります。これを知っておけば、「不動産投資をしたいけれど、資金が不足している」という状況を解決できるでしょう。ここからは、初期費用を抑えて、不動産投資及び不動産を購入する方法を解説します。

頭金や諸費用の見直しで、抑えられるところは抑える工夫

初期費用を抑えたいときには、頭金や諸費用を見直しましょう。不動産投資・購入時にどれくらい頭金を入れるのかで、初期費用を調整できます。各手数料や保証料も、利用する金融機関・保証会社によっては安く抑えられるでしょう。初期費用を抑えて不動産投資・購入をしたいなら、頭金の額を少なくして融資を多めに契約したり、保証料を比較的安く設定している保証会社を利用しましょう。

中古の区分マンションへの投資なら少額から始められやすい

初期費用を抑えて不動産投資を始めたいときには、中古の区分マンションを投資先として選びましょう。販売価格が安いため、ほかの不動産投資と比べると比較的少額から始められます。中古区分マンションで不動産投資を行う場合、初期費用の目安は約50万~100万円程度といわれています。中古区分マンションなら、自己資金が少なくても不動産投資を始めやすいでしょう。

頭金がない場合でも不動産投資はできる?

不動産投資を始めるにあたり、「頭金が支払えない」という問題を抱えている方もいると思います。もし、頭金がない場合には、融資を利用してお金を用意するしかありません。しかし、頭金を準備せずに不動産投資はできるのでしょうか。ここからは、頭金がない場合の不動産投資の可否を紹介します。

初期費用を含めた不動産投資ローンを組める金融機関もある

頭金がなくても不動産投資はできるのか。結論からいうと「可能」です。不動産投資ローンを扱っている金融機関によっては、初期費用を含めた金額でローンを組めるところがあります。金融機関によっては、頭金も含めたフルローンを利用できます。ただし、フルローンでの融資となると、その分借入金額は高額です。毎月のキャッシュフローが苦しくなる可能性も視野に入れたうえで検討してください。

物件購入後にも費用がかかることを把握しておこう

不動産投資は、初期費用だけではなく「購入後」にもさまざまなお金がかかります。災害などで建物が損壊したときには、修繕費で建物を直さなければなりません。損壊の原因によっては、保険金ではなく自己資金で負担する必要があります。

万が一、物件購入後に維持・管理でお金が支払えなくなった場合、せっかく購入した不動産を売りに出さなければならないことも。不動産投資では、いつどんなタイミングで、どれくらいのお金が必要になるのかわかりません。普段から自己資金に余裕を持っておくことが大切です。

不動産投資に関する知識は、「始める前」にある程度得ることが大事

不動産投資を検討しているのであれば、始める前にある程度知識を得ておかなければなりません。知識不足のままで不動産投資を始めると、思わぬ損害を被ることも考えられます。物件価格の相場を調べたり、収支のバランスを計算したりして、資金計画を綿密に立てることが大切です。

計画的に不動産投資を始めるためには、不動産会社に相談したり、セミナーや書籍を活用するなど、自分から積極的に情報に触れなければなりません。安定した不動産投資のためにも、始める前にきちんと知識を得ておいてください。

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