『たちどまって考える』先が見えない日々を生きるヒントになる一冊

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『たちどまって考える』

漫画家・文筆家のヤマザキマリさんが、先の見えない今このとき、たちどまって考えることの大切さについて語ります。パンデミックな時代を生きるためのヒントにあふれた一冊、新刊です。

たちどまって考える
著者:ヤマザキマリ
出版社:中央公論新社

たちどまって考える。この言葉をかみしめます。不安な時、先が見えない時、急ぎすぎている時。どこかムリをしていると感じる時も。

今年の2月、イタリアの家族と離れ離れに暮らすことになった著者のヤマザキマリさん。過去にない長い期間を家に閉じこもって過ごすことになりました。新型コロナウイルスの感染爆発が起きたイタリアを心配しながらも、「来るべきときを待つしかない」と状況を受け入れます。そして、世界情勢をじっくり分析し、自分自身を深く見つめます。

今までは旅をすることが栄養となって漫画などを生み出してきた。あたりまえだったことが制限されエネルギーを持て余した著者は、この機会を「普段考えたり実践できないことを経験するチャンス」と前向きにとらえます。

若いときから世界に飛び出て、波乱万丈な生き方をしてきた著者の心の中にはいつも、「世のなかは思いどおりにならない」という思いがある。それで当然だと思って生きてきた。そのうえで、苦境を乗り切るために、また歩く日のために、いまできることはなにか。

ヤマザキマリさんの語る言葉は明快で、もやもやがスッキリ晴れるような気がしてきます。パンデミックに対する日本人とイタリア人の向き合い方や感覚の違いもよくわかります。先が見えない不安な日々を生きるとき、いったんたちどまる大切さを教えてくれる一冊をどうぞ。

「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。

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