芳本美代子「雨のハイスクール」記憶がよみがえる大村雅朗の胸キュンアレンジ! 1985年 9月30日 芳本美代子のサードシングル「雨のハイスクール」がオリコンチャートで最高位(15位)を記録した日

心に沁みる、芳本美代子「雨のハイスクール」

コロナ禍の影響で在宅ワークとなってから約半年。コロナ禍以前は、当然会社まで電車通勤していたわけなのですが、家から会社まで片道2時間かかるんで、道中長いんですよね。その間、いつも当然のようにウォークマンで音楽を聴いていたわけで。その時に聴いてる音楽も、ロック、ニューミュージックからアイドルまで多岐にわたります。

まぁ、ヘッドフォン越しとはいえ、いい年したオッサンが電車の中でアイドルの曲を聴くってのは、少し勇気が要りますね… それでも、以前ほど感じてた “恥じらい” は、今となっては気にならなくなってきましたけどね。周りの “目” ってやつも。

でね、コロナ禍で在宅ワークになる直前、いつものように通勤の電車の中で聴いて思わず「感動!」しちゃった曲があるんですよ。

それが芳本美代子さん「雨のハイスクール」。

いい曲ぢゃん! いや、これホント! お世辞抜きで!「うーむ… どうして1985年当時、もっとちゃんと、この曲キチンと聴かなかったんだろう… ワタシ」と、後悔しきり。いや、音源は持っているし、だから昔から耳にしているはずなのに、なぜか、今になって、急に心に沁みるんです。音楽って不思議なものですよね。

胸が締め付けられるようなアレンジは大村雅朗

松本隆氏の繊細で胸キュン(死語!)ものの歌詞。そして、文句のつけようのない、財津和夫氏のキャッチーなメロディ。さらに、一番 “キュン” と来るのは、大村雅朗氏のアレンジですね。

この胸が締め付けられるような “胸キュンもの” の淡い味付けのアレンジは、今の季節には最高だよね!

松田聖子さんの「SWEET MEMORIES」からしてそうなんだど、秋の日の切なさを表現させたら、大村雅朗氏のアレンジの右に出る人はいないんぢゃないかなぁ。

ある秋の寂しい雨の日… そんなシチュエーションに、この曲はとってもよく似合うんだよね。

高校時代の青春の1ページに “胸キュン”

私がこの曲を聴くとフラッシュバックしてくるのは、1985年のある雨の秋の日だ。当時私は高校1年。

同系列の高校の野球部が秋の関東大会決勝まで進み、急遽、我が高校の吹奏楽部も野球応援に借り出され、山梨の甲府まで応援に行ったことがある。あいにくの雨だった。

あの時、頭の中を駆け巡っていたのがこの曲だった。今でもこの曲を聴くと、あの秋の、雨の中での野球応援の情景がフラッシュバックしてくる。

この曲の本来の光景としては、例えば、歌詞に出てくる学校の図書館だったり、色とりどりの傘の花が咲く校門の前の風景だったり… というところなのかもしれないけど、私的にはどうしても、あの雨の中の野球応援の風景が出て来てしまう。

まあ、いずれにしても高校時代の青春の1ページというところは変わりないんだけどな。そう、“青春の1ページ” というキーワード。もう戻りたくても戻れない遠い記憶。50過ぎとなった今、ココに “キュン” としてしまうんだろうね。

おニャン子クラブの台頭によるアイドル戦線の変化、1984年以前だったら…

しかしさ、こんなにキュンキュンさせるのに、この曲、なんでもうひとつ売り上げが伸びなかったんだろう… って感じなんだよねぇ。

いや、今聴いても、絶対、もっと売れてしかるべき曲だと思いますよ。楽曲の完成度から考えても、ベストテン入りしても不思議ではなかったと思う。ほんと、当時のアイドルポップスの水準からしても、全く見劣りしないですもんね。

もっとも、“これは1984年以前だったら… という但し書きがついて…” と今だから書けるんだけど… この曲がリリースされた時点でのミッチョン(芳本さんのニックネーム)のアーティストパワーもあるけど、おニャン子クラブの台頭、これが大きかったんだよな。

おニャン子クラブは、アイドルフリークの意識を大きく変化させてしまった、ある意味 “黒船” でしたからね。そんなアイドル戦線の変化の渦に大きく巻き込まれたのが、既存の80年型アイドルとしてデビューした1985年デビュー組だったろうし、その1人である、ミッチョンだったんだろうな。

Song Data
■ 芳本美代子 / 雨のハイスクール
■ 作詞:松本隆
■ 作曲:財津和夫
■ 編曲:大村雅朗
■ 発売:1985年9月11日
■ 発売元:テイチク
■ オリコン最高位:15位(1985年9月30日付)
■ 売上枚数:4.5万枚
■ タイアップ:グリコ「コロン」CM曲

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カタリベ: かじやん

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